明大が東京6大学リーグ今季初戦へ ラストイヤーに臨む「夢見る夢男」水谷公省が目指す将来像

東京6大学リーグでの活躍を誓う明大・水谷公省(撮影・金子真仁)

東京6大学野球リーグは20日から第2週が始まり、明大は東大と対戦する。明大・水谷公省外野手(4年=花巻東)にリーグ戦を前にしての思いを尋ねた。

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10日、東京・府中市のグラウンドで講義前の練習を終えた水谷に、父哲也さん(58)から託された3つの質問をぶつけた。

-現在の立ち位置は?

公省 現在の立ち位置は…試合に出られるか出られないかみたいなところで…。

-現在の目標設定は?

公省 レギュラー奪取というか、チームを勝たせられる選手になりたいです。その中でも特に打点にはこだわりたいです。

-目標設定のためにどんな正しい努力をしていますか?

公省 特にバッティングでは悪い癖を矯正するようことを意識して。素振りでもティーでもフリーでも、ひたすら打ってるんじゃなくて、考えながら意識してやっています。

父は横浜隼人(神奈川)の監督を務めている。ドラフト1位候補ながらスタンフォード大に進学した佐々木麟太郎内野手(19)の父、花巻東(岩手)・佐々木洋監督(48)の師匠格としても球界で知られる。

水谷監督は息子の公省のことを“夢見る夢男”と表現した。それを本人にぶつけてみた。

「小さい頃からずっとプロ野球選手になりたいって、とにかくそれを目指してポジティブにポジティブにやってきてるんで、多分それで。とにかくなんか考えがポジティブだねって、何があっても前向きだねっていうふうにはたぶん言われてます」

父は厳しい人だ。でも。

「逆に厳しいからこそ、前向きに前向きになってたんじゃないかなって思います。下向いてたら、なんか、うん、人生楽しめないなと思って」

花巻東、明大と名門を進んでも、ずっと言われてきたことがある。組織の中での水谷公省は。

「多少はやっぱり、影響力があるとは思ってて。自分の行動1つで、後輩や同級生も…。いいことをすればたぶん周りもいそれについてきてくれるし、逆にダメだなって思ったらみんな流されちゃうっていうか。チームのプラスになれるような行動っていうふうにずっとやってきました」

冒頭に戻る。外野手争いは激しく、水谷はスタメンで出られるかどうかの瀬戸際にある。一方、周りには就職活動に励むチームメートたちもいる。

「野球やりたくても自分の立ち位置とかを見て、就活に専念してる人もいるんで。こうやって今も、4年生になっても、野球できるっていうのは当たり前じゃないんで、感謝しながらやっていきたいなと」

接点のある佐々木麟太郎の進路には「自分がもしその立場だったとしても考えられない決断」と驚き、一方で将来のことを自分で決めないといけない1年にもなる。

「プロ野球選手になりたいって小さい頃からずっと思ってたんで。なれたら親にも、今まで支えてくれた人たちにも恩返しになると思うんで。野球を終えるまではその目標に向かって頑張っていきたいなと思っています」

父を「自分を後回しにできる人」と尊敬する。いわゆる“親子鷹”はメディアにも注目されがちだ。でもそれを嫌がったことはない。「お父さんの息子で良かった」と感謝する。目指すべき大人像でもある。

「誰かのために尽くしたら、いつか自分に返ってくるって。そういうことや教わったことを、見習っていきたいです」

そんな父に見せることができる「大学生・水谷公省」の最後の1年。神宮で見てもらいたい思いは?

「見に来てほしい部分はあるんですけど、やっぱりそこはもう隼人が優先なんで。自分は後回しで」

父と同じ。自分は後回しだ。【金子真仁】