<日本生命セ・パ交流戦:ロッテ3-2阪神>◇1日◇ZOZOマリン
ロッテが強い、強すぎる。阪神戦で、史上初めて4戦連続で追いつき延長戦へ。11回2死二塁で途中出場の愛斗外野手(27)が、サヨナラの二塁打を右翼へ放った。チームは4試合続けて9回に追いつく歴史的な粘りで、4分け挟み11連勝。2戦連続のサヨナラ勝ちで、本拠地を沸かせた。
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ヒーローインタビューを終えた愛斗が、ライトスタンドへ向かう。愛斗コールも、ファンが掲げる愛斗の名入りタオルも、そこにはたくさんある。
「見たいですね。そうなるといいですね」
西武を離れることが決まった昨年12月、今日の光景を夢に描いていた。
「投手の人生を背負っているので」と強いこだわりを持つ右翼守備を、大の得意とする。ただ古巣の西武では、ロッテとは違い、本拠地では西武ファンが左翼席に陣取っていた。
「でも僕のファンの人たちって、けっこうライトスタンドにいてくれたんですよ。僕の名前のタオルを掲げて。そこに向かって走って行くんです」
新天地のロッテならライトでも…そのシーンを夢見た。一方で環境が変わることに不安もあった。
「怖い…のも正直、少しありますね。新しいところに行くことも、うまくやっていけるかなっていうのも。最初は壁、作っちゃうかも。おそるおそる」
まっすぐで熱い。この日もインタビュアーの目をしっかり見ながら、質問を聞いていた。西武でも特に後輩たちから慕われた。ただ果敢なプレースタイルのイメージとは違い、物静かだ。誤解されることもある。古巣で不遇の時期を過ごしたこともある。
人懐こさもあるけれど、慣れるまで時間がかかることも。“野生児”と呼ばれた愛斗は、きらびやかなプロ野球界に長く身を置き、見た目は割と派手ながら、その実はどこにでもいる「ちょっとした悩みもある人」だ。
2月末、宮崎空港の搭乗ロビーで久々に顔を見た。「こいつ、仲良くなったんですよ。同い年で」。紹介してくれたのはロッテ高部瑛斗外野手(26)。同じ職人肌の外野手だ。同じロビーにいた西武ナインの輪にはあえて寄らず「ロッテ愛斗」でいようとした。
西武在籍中は慕ってくれた後輩たちに“だる絡み”もしたけれど、去り際にはしっかり思いを伝えた。
「1軍で試合に出る人は決まってるかもしれない。でもどれだけ打てなくても、活躍できなくても、腐らないでほしい。2軍で結果残してるのになんで1軍に上がれないんだって思わないように。そう思ったらもう、腐っていっちゃう。自分もそれが態度に出たことがある。でもそれって、絶対に周りが見てるし、自分が頑張ってたら、それも必ず誰かが見てくれるから」
ロッテでも2軍に落ちたけれど、また立て直して、この日の愛斗コールにつなげてみせた。
もの静かだけれど、孤独が好きなわけじゃない。孤独の苦しみも知る。だから名前の通り、愛されることはうれしい。
お立ち台で「僕もロッテの一員になったんで、ロッテに貢献できるように頑張ります」と言った。淡々とした語り口だったけれど、思いに偽りはまるでない、それが愛斗。
日が変わればまた、投手の人生をかけて定位置へ駆けていく。ライトスタンドを見ながら。【金子真仁】