2日間で5万8000人動員の大盛況だった早慶戦 4連覇達成OBや他大学野球部も観戦

早大対慶大 優勝し喜ぶ早大の選手たち(撮影・野上伸悟)

2日間で5万8000人を動員した早慶戦を見守る観衆には、それぞれの思いが交錯する。

今春の早慶戦は、早大が慶大に連勝。リーグ最多47度目、20年秋以来7季ぶりの優勝を飾って幕を閉じた。

早慶戦は学生野球の最高峰、東京6大学リーグでも特に大人気のカードだ。

試合前時点で、内野席と応援席の前売り券は完売。当日券も午後1時プレーボールから4時間前の9時時点で20メートルほどの列ができていた。

試合では、1球1球に拍手と歓声が湧く。独特な熱気を醸し出す早慶戦に訪れた人たちに話を聞いてみた。

広島から早大野球部OBの小山健介さん(43)親子が観戦のため訪れた。父、健介さんは04年卒業。現ヤクルト青木、元阪神の鳥谷らとともにプレーした。二塁手で「(1学年下に元ヤクルトの)田中浩康が守っていたので、控えだったんですけど」と、謙遜もメンバーとして早大で4連覇を経験。普段は中継で6大学を観戦も「早慶戦はすごいんだぞって、どうしても見てもらいたくて」と、小学5年生の息子の樂(がく)くんを連れてきた。少年野球でプレーする息子に、将来的には早大野球部へ入ってほしいと考えている。樂くんは早大のエース伊藤樹投手(3年=仙台育英)が初回を無失点に切り抜けて大声援を浴びると「1球1球で歓声が上がってすごい」と、目を輝かせていた。

「1番遊撃」でレギュラーを張る慶大・水鳥遥貴内野手(4年=慶応)の父、浩基さん(52)も訪れていた。愛知県出身。息子は高校から親元を離れて慶応(神奈川)で寮生活を始めた。「小さいころから本当に野球が大好きでね」。なかなか会えない分、毎試合訪れて息子の勇姿を見守っていた。

首都大学野球、日体大の選手も見に来ていた。「ちょっと見に来たくて」と、オフを利用。他大学リーグの野球部員にとっても目が離せない一戦だった。

ともに神宮で対決した選手の姿もあった。法大副将、西村友哉外野手(4年=中京大中京)と、ムードメーカー大川航駿内野手(4年=日大鶴ケ丘)。閉会式までの間に少しだけ観戦した。西村は「やっぱり強いですね。早稲田のキャッチャー印出が中高の同級生なんですよ。すごいなあって。でも悔しいですね」と、つい本音が出る。3回戦までもつれ込み、延長12回サヨナラ負けで勝ち点を落とした慶大戦については2人とも「あれはちょっと…。打てなかった野手が悪いです」。昨日のことのように悔しさを思い出す。そんな心情で早慶戦を眺めていた。

いろんな思いを抱えた人々が、早慶戦を見に来る。東京6大学の最終週を飾る伝統の一戦は今も昔も変わらず。特別な空間であることを肌で感じた2日間だった。【佐瀬百合子】