<日本生命セ・パ交流戦:楽天3-2阪神>◇5日◇甲子園
あと1人コールの土壇場で、試合をひっくり返した。楽天小郷裕哉外野手(27)が、阪神戦に「1番右翼」で出場。1点を追う9回2死二塁、今季3号となる逆転2ランを右翼席に突き刺し、勝利を確信していた甲子園の虎党を静まりかえらせた。この1勝で、球団史上初の交流戦3カード連続勝ち越しを達成。ソフトバンクと並んで、交流戦首位タイをキープした。
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小郷が「あと1人」コールを力に変えた。1-2の9回2死二塁。右翼席の阪神ファンのボルテージは最高潮だった。カウント3-1から岩崎の140キロ直球を捉える。打球は風にも乗り、ぐんぐん伸びていく。右翼席最前列へ今季3号の逆転2ランをたたき込んだ。「試合がひっくり返ったのでいいところで打てたなと思います」。ベンチの今江監督も思わず頭を抱えるほど劇的な1発だった。
甲子園に縁がある。少年時代は阪神ファン。主力選手だった鳥谷敬氏が同じ右投げ左打ちということもあって、憧れの存在だった。背番号「1」のユニホームや下敷きも持っていたという。甲子園を訪れ、試合を観戦したこともある。「僕も言ってたんで。『あと1人って』。それを力に変えて頑張りました」とさわやかに笑った。
初戦敗退となったものの、14年夏の甲子園に関西(岡山)の一員として出場。当時は無安打に終わったが、この日はプロアマ通じて聖地1号という最高の結果を残した。「子どもに一生言えますね」と、おどけてみせた。
阪神戦には、苦い記憶がある。昨年6月8日、楽天モバイルパーク。2点リードの8回無死一塁。右翼線に上がった飛球をグラブの土手に当てて落球した。それがきっかけで一時逆転を許したが、チームは9回に小深田がサヨナラ3ランを放って劇的勝利。小郷は自身のふがいなさから号泣した。
だからこそ、阪神戦には特別な思いがあった。「今日はできすぎですけど、いい形で、去年は救ってもらっていたので、今日は試合を決められたんで良かったかなと思います」。チームは球団史上初の交流戦3カード連続勝ち越しに成功。神様、仏様、小郷様-。楽天ファンからそう呼ばれるような起死回生の一撃だった。【山田愛斗】