<阪神2-1DeNA>◇6日◇甲子園
また輝だ! 阪神佐藤輝明内野手(25)が、岡田彰布監督(66)に歴代虎将単独1位の通算515勝を届けた。1-1の6回2死一、三塁で右前に勝ち越し打を放って渾身(こんしん)のガッツポーズ。3日の広島戦で2発を放ち、藤本定義監督に並ぶ514勝を運んだ男が、新記録も決勝打で運んだ。負ければ4月17日以来80日ぶりの借金生活だったが5度目も回避。4位ながら首位広島に2ゲーム差に再接近し、背番号8が再奪首を導く勢いだ。
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心は熱く、頭は冷静に。同点の6回2死一、三塁。佐藤輝は初対戦の左腕ディアスのスライダーをバットの先で引っかけるように右前に運んだ。「めちゃくちゃうれしかった」。これまでにないほど、強くこぶしを握った。
「(伊藤)将司さんも頑張っていた。自分もつなぐつもりだった。初対戦なので、積極的にいこうと思っていた。結果、初球を打てたのでよかったです」
直球待ちで、変化球をさばいた。そのスタイルを推奨してきた岡田監督も及第点だ。「直球を狙っていて、変化球が高めにぽっと来たら、そんなのホームランとか狙わずにね。普通にバットが出ればいいんよ」。
その指揮官に、藤本定義監督を超え、阪神歴代監督で単独1位に立つ515勝目をプレゼントした。岡田監督との出会いは7年前。近大に入学間もない頃だった。早大が関西に遠征し、野球評論家だった監督は母校と近大との練習試合を観戦。フリー打撃で背番号67をつけてアーチを描く新入生に目を奪われた。当時の近大監督、田中秀昌さんに「あの67番は使い続けた方がいいですよ」と伝えた。
「そうですよね」と応じた田中さんも分かっていた。「絶対にプロに行くと。こんな選手を育成できるなんて指導者冥利(みょうり)」と大事に育て上げた。本人も努力を重ねて岡田監督の見立て通りのドラフト1位、しかも縁あって阪神に入団。3年目の昨季に“再会”して指導を受け、一緒に日本一を味わった。
プロ生活は順風満帆ではなく、今季も壁にぶち当たった。打撃の波が大きく、守備でも怒られた。5月には突き放されるような2軍行き。だが、荒療治に結果で応え、1軍復帰後は打率を3分以上も上げている。3日の広島戦では今季初の2発で藤本監督に並ぶ514勝目を届け、この日の新記録もバットで届けた。導かれたような2戦連続のメモリアルV打に「結果は出ているので、いいんじゃないですか」とほほ笑んだ。
土俵際のチームを救った。負ければ4月17日以来、80日ぶりの借金生活だったが、5度目の危機もしのいで貯金1。先制されれば14連敗のジンクスにも終止符を打った。「いい波に乗れているので、頑張っていきたいですね」。4位ながら首位広島と2ゲーム差。再奪首は、この男の活躍なしであり得ない。【柏原誠】