<番記者プロデュース>
ネクストブレークは俺たちだ!! 巨人には育成選手が40名在籍(14日現在)している。彼らは支配下登録を勝ち取るため、1軍で活躍するため、日々鍛錬を積んでいる。その中から、2軍戦での登板を重ねる田村朋輝投手(21)、14日に支配下選手契約を締結した笹原操希外野手(21)の2選手を直撃。今季にかける思いや思い描く将来像など、未来のスター候補生たちの現在地に迫った。【取材・構成=水谷京裕】
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田村は間髪入れずに答えた。「一番(の武器は)はもう真っすぐですね」。最速159キロを誇る剛腕は「去年の秋ぐらいに杉内(投手チーフコーチ)さんから『160キロ出せ』と言われたので。どうなのか分からないですけど、とりあえず目指しています」と大台到達にも夢を膨らませる。
常に厳しい環境を求めてきた。東京・八王子出身だが「遊びのない場所を探した」と、高校は酒田南(山形)に進学。「仲の良かった先輩が酒田南に行ってて、『一緒にやろうよ』というお誘いと。東北はダルビッシュ選手、大谷選手、佐々木朗希選手だったり、すごくいいピッチャーが生まれてるようなイメージ。東北に行ってみたい気持ちもあったので、決め手はそこでしたね」と回想した。
入学当初から進路はプロ1本。走り込みやウエートなどで、体を鍛え抜いた。甲子園出場こそならなかったが、150キロを超える直球を手に入れ、運命の日を迎えた。22年10月20日のドラフト会議。「育成では行かないと決めていた」と支配下指名を待ったが、結果は指名漏れ。「もう絶望でしたね」と当時を振り返る。
その後、巨人から育成2位指名を受けた。心境は複雑。それでも「歴史があって、強いチームだったので」と気持ちはプロ入りに傾いた。今ではチーム内でもトップクラスの直球を投げる投手に成長を遂げ「(育成でプロ入りは)間違えてなかったかな」と胸を張る。
将来的には1軍の舞台で守護神の座を狙っている。だからこそ、求めるレベルも高く「(2軍では)真っすぐで押せてるけど、自分の思う1軍レベルの球は投げられていない」と自己分析する。さらに「それこそマルティネスのような。すごいなと思わせる真っすぐを投げたい」。東京ドームの9回のマウンドに立つために、“すごい”真っすぐを完成させる。
◆田村朋輝(たむら・ともき)2004年(平16)4月6日生まれ、東京都八王子市出身。酒田南(山形)から22年育成ドラフト2位で巨人入り。力強い直球が武器で、最速は159キロ。24年オフの台湾アジアウインターリーグでは、9試合に登板し、0勝0敗2セーブ、防御率1・38。憧れの選手は巨人マルティネス。今季推定年俸390万円。背番号023。184センチ、86キロ。右投げ右打ち。
○…松本外野守備兼走塁コーチが育成制度の魅力を語った。自身も06年に育成ドラフト3位指名を受け、巨人に入団。「最初は、足という自分の一番の持ち味をアピールして、そこを目立たせようと思ってやっていました」と当時を振り返った。07年に支配下登録されると、09年には新人王、ゴールデングラブ賞を獲得。現役引退後は2軍のコーチも経験するなど、後進の育成にも努め「育成は何か光ってるものがあればプロの世界でできる。そこは今の子どもたちにとっても、すごい目標にもなるんじゃないかな」と話した。
★育成選手アラカルト
◆昇格は約3人に1人 育成ドラフトで入団した選手は今年まで579人おり、そのうち支配下契約を結んだのは184人。全体の31・8%になる。来日1年目が育成契約だった外国人選手は133人で、そのうち支配下昇格は44人おり、33・1%。いずれも約3人に1人が支配下契約を勝ち取った計算になる。また他に、支配下契約で入団して、育成→支配下を経験した選手は149人いる(外国人選手5人含む)。
◆最長は8年 最も長く育成契約を結んでいたのは成瀬功亮(巨人)の8年。成瀬は10年育成ドラフト6位で入団し、18年まで在籍したが、1度も支配下契約はかなわなかった。
◆育成出身者のタイトル 09年に最優秀中継ぎの山口鉄也(巨人)が初。投手では他に最多奪三振2度などの千賀滉大(ソフトバンク)20年最多勝、最高勝率の石川柊太(ソフトバンク)22年最優秀中継ぎの水上由伸(西武)。野手では盗塁王が2人おり、周東佑京(ソフトバンク)と和田康士朗(ロッテ)が獲得。外国人では最多セーブ2度のマルティネス(中日)最優秀防御率、最優秀中継ぎのモイネロ(ソフトバンク)など。支配下→育成→支配下では、14年オフ育成契約→15年4月支配下復帰→18年最優秀中継ぎの近藤一樹(ヤクルト)などがいる。