<ヤクルト5-4広島>◇30日◇神宮
ヤクルト村上宗隆内野手(25)が衝撃の1人“バックスクリーン3発”を決めた。2回に12号ソロ、3回には13号2ラン、最後は8回に14号ソロで締めた。自身2度目となる1試合3本塁打で、すべてバックスクリーンに放り込んだ。小児がん啓発の「ゴールドリストバンド」を装着して大暴れ。負ければ優勝の可能性が消滅していた一戦だったが、チームの連敗を3で止めた。
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左手首のゴールドリストバンドを、村上がカメラ目線で指さした。ダイヤモンドを1度、2度、3度と軽快に駆け抜け、ベンチ前で仲間と歓喜を分かち合った後だった。3周とも、白い歯をのぞかせて思いの込められたリストバンドを強調した。この日は小児がん支援を目的とする「ゴールドリボンナイター」としての開催だった。小児がんと闘う子もスタンドから見守る中、22年7月31日阪神戦以来の1試合3発を決めた。
お立ち台ではインタビュアーに「神様」と振られ、「人間の村上宗隆です」と笑いに包んだ後、秘めた胸中を語った。
「今日は小児がん(啓発の)ナイターっていうところで、始球式の子とかも…なんて言うんすかね。僕は大きく生まれて、すごく恵まれてますけど、本当に小さい体で頑張っている姿だったりとか、僕も刺激をもらっています。なんとかそういう子たちに夢と希望、そして元気を与えられるようにと臨みました」
始球式では小児がんと闘い、1月に退院した福沢尚翔さん(12)の姿を目に焼き付けた。福沢さんは村上の大ファンで、背番号55のユニホームを着用し、ワンバウンドの力強いボールを投げた。胸に込み上げた思いを、結果につなげた。
特別仕様の「ゴールドリストバンド」を装着する左手で、力強く球を押し込んだ。1本目は2点を先制された直後の2回先頭。高橋の高め141キロカットボールを捉え、129メートルの特大12号ソロを神宮のバックスクリーンど真ん中に突き刺した。3回2死三塁では、高橋の145キロ直球を13号決勝2ラン。8回1死からは、辻の147キロ直球を打球速度183キロ、飛距離134メートルの弾道で運んだ。リプレー映像のように、3本ともバックスクリーンへ。「どこに飛んでもホームランですが、いいスイングで打てている」と、うなずいた。
7月29日DeNA戦の1軍復帰から、29試合で14発だ。約2・1試合に1本塁打と“超人的”なペースで量産する。「こうして野球ができることにも感謝しながらやらないと。社会人として、しっかりとした人間になりたい」。見る者を魅了した異次元の3発。希望のアーチを夜空に描いた。【上田悠太】
▼村上が2打席連発を含む3本塁打。村上の1試合3本塁打は22年7月31日阪神戦に次いで2度目。先発4番で打った本塁打は19年2本→20年28本→21年39本→22年56本→23年31本→24年31本→25年14本となり、この日の3本を加えて通算201本。4番で200本塁打以上は26人目で、ヤクルトでは初めて。村上は現在25歳6カ月で、94年清原(西武)の26歳11カ月を抜いて4番200号の最年少記録となった。
▽ヤクルト高津監督(村上の3発に)「3本すべてセンター方向というのが非常に評価できる。今は非常に雰囲気が出てきた。打ちそうだなという感じでベンチから見ている」