<巨人4-3広島>◇10日◇東京ドーム
巨人坂本勇人内野手(36)が、全集中の一打で決勝点を奪った。同点の8回に代打で登場。広島島内から値千金の決勝犠飛をマークした。前夜、右手に打球を当ててヒヤリさせた巨人岸田行倫捕手(28)も4回に7号同点2ランを含む2安打2打点で躍動した。チームは1点差で競り勝ち、5月以来の今季3度目の4連勝。9月に入ってからは3カード連続の勝ち越しを決め、8月25日以来の貯金1をつくった。短期決戦を見据えた最終盤で勝負手が決まってきた。
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湧き上がる興奮を静めた。8回1死満塁。前打者・中山の申告敬遠が合図だった。一塁側ベンチ裏の坂本は、一呼吸してグラウンドへの階段を上がった。「ああいう場面での代打。いきなり0が100になるんで」。出はやしと4万人の大歓声に迎えられる。「打席に立ってからですよ。立ったらやっぱり、どういうシチュエーションでも気持ちは入る。何も変わってないんじゃないですかね。スタメンで出ている時と」とスイッチの妙は心得ている。
広島島内-会沢のバッテリーとの“一騎打ち”。5球連続の直球勝負に食らいつく。「どこかでチェンジアップがきそうかなと思ってたけど、なかなかこなかった。会沢に完全に裏かかれながらだったんですけど、最後にちゃんと頭にあったのでね」と追い込まれても反応できた。外角低めに落ちる“獲物”を、体勢を崩されながらも捉えた。
夏場以降は代打での出場が増えた。8月15日阪神戦からは9試合連続で代打の切り札を担う。今季の代打成績は16打数5安打1本塁打、打率3割1分3厘で9打点をマーク。現役最多のプロ通算2446安打のレジェンドは「本当に初めて経験してますけど、後から出ている選手っていうのは本当に大変なんだなと、今初めて知りました。本当にね、全員で戦ってるんで」とお立ち台で言った。
この日、唯一で最大の注目を集めた打席を満喫した。左翼に打ち上げた打球の行方と三塁走者の増田大の生還を見届けると右手を突き上げ、ガッツポーズをつくって笑った。阿部監督も「そういう時のためにいてくれてるので。とても大きいですね」と信頼を寄せる。戦いは続く。「どういう役割になるかわかんないですけど、求められたところで頑張れるようにやっていきます」と坂本。勝負の火は、まだ消えていない。【為田聡史】