<広島1-6ヤクルト>◇3日◇マツダスタジアム
ヤクルト7年ごとの“大物誕生”伝説は、また継承されていくかもしれない。ドラフト4位の田中陽翔内野手(19)がプロ初の猛打賞を決めた。1回先頭で右越え二塁打を放つと、2回2死一塁は右前打、5回先頭は中前打で続いた。球団高卒1年目の猛打賞はサンケイ時代の67年5月5日中日戦の奥柿幸雄以来、58年ぶりの快挙。「日々失敗してきたことを思い返して、次の日の練習でやっている形が出ている」。冷たい雨も心地よかった。
経験を成長の糧にしてきた。最初の転機は春。5月25日イースタン・リーグDeNA戦で左翼方向へ本塁打。「その時、つかんだんです」。左手で押し込む感覚をつかみ、6月は打率2割9分5厘を残した。
夏は悔しさを糧にした。1軍初打席の7月8日DeNA戦でウィックの158キロ直球に見逃し三振。試合後、東練馬シニアで指導を受けた宮本慎也氏(54=日刊スポーツ評論家)に「あれが普通だと思わないと1軍ではやっていけないぞ」と激励された。160キロに迫る剛球を当たり前と思えるように取り組んできた。迎えた秋。1軍再昇格し、1日DeNA戦ではプロ初安打&初打点を決めた。
89年古田、96年岩村、03年青木、10年山田、17年村上。7年周期で傑物がドラフト入団してきた“運命”の巡り合わせを背負う世代。オフに海を渡る村上からも「将来が楽しみな選手。たくさん若い選手の中で引っ張っていく存在になってほしい」と託された。田中は「村上さんの背中を見てすごい選手になれるようになっていけたら」。あどけない表情から発する言葉に力が宿った。【上田悠太】
◆田中陽翔(たなか・はると)2006年(平18)6月25日、東京都狛江市生まれ。小学6年時にヤクルトジュニア選出。中学時代は東練馬シニア所属。健大高崎へ進み1年春からベンチ入り。3年春夏に甲子園出場。高校通算21本塁打。24年ドラフト4位でヤクルト入団。25年7月8日DeNA戦でプロ初出場。183センチ、88キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸550万円。父はロッテ、ヤクルトでプレーした田中充。