【西武】育成19歳左腕・冨士大和「失うものもない」阪神相手に好投 ネーミングしたくなる魔球も

フェニックス・リーグ西武-阪神 阪神打線に7回2失点と好投した西武冨士(撮影・金子真仁)

<みやざきフェニックス・リーグ:西武1-2阪神>◇8日◇南郷スタジアム

西武の背番号123、冨士大和投手(19)がサクセスストーリーに乗った。

フェニックス・リーグ阪神戦に先発し、7回4安打2失点。それでも最速149キロの直球で1軍経験者も多い阪神打線を押し、5回までは豊田のソロ本塁打の1安打のみ。「今の自分の実力として、今日の相手には100点満点に近い投球ができたと思います」と胸を張った。

阪神ベンチにはCSを控えた藤川監督もいた。投げ合ったのも才木。冨士は「周りの人たちも見てくださると思ったので、今日は支配下登録へアピールする大チャンスだと思いました。1軍の選手たちを相手に、僕には失うものもないので思い切り」と投げ込んだ。

2年前の10月14日。同じフェニックス・リーグで、CSを4日後に控えた阪神打線に投げた先輩がいる。当時は背番号128で育成契約だった菅井信也投手(22)だ。

同じ育成出身の左腕の先輩は、阪神のほぼフルメンバーを相手に6回1失点。スタンドをざわつかせ、翌年の支配下登録への“第1歩”を踏み出していた。

冨士もそのことを「聞いていました」と言う。初回、いきなり1番小野寺を直球3つで空振り三振に。イースタン・リーグでは首位打者経験のあるロッテ角中から直球で2球連続空振りを奪ったこともある。独特なスリークオーターからの伸び豊かな直球は、この日もさく裂した。

大宮東(埼玉)から昨秋育成ドラフト1位で入団。細く柔らかで表情などバリエーション豊かなぬいぐるみキャラ「モケケ」の収集家として、西武ファンの間で話題になった。

その「モケケ」のようにふわりと、スローカーブのような軌道を描く100キロ台のチェンジアップを投げ、この日も阪神坂本を大きく崩して空振り三振にするなど効果が発揮された。

あまり類を見ないような独特な軌道だ。このまま活躍となれば代名詞になりうる球種でもある。オリジナルな名前でも付けたくなるところだが、冨士は「いえいえ!」と恐縮しながら照れる。こちらで勝手に“もけけボール”と呼びたくなってしまう、そんな魔球がまた広まる登板にもなった。【金子真仁】