<We love baseball> <ミスタージャイアンツ 長嶋茂雄 お別れの会>◇21日◇東京ドーム
「巨人の陣屋より現れました豪傑、鎧(よろい)の胸元押し広げ、胸毛を夜風にソヨとなびかせながら天地に響けと大音声…」
講談師の五代目・一龍斎貞花さん(86)の創作講談「長嶋茂雄物語」の冒頭部分だ。長嶋茂雄さんの現役晩年から語り始め、つどつどバージョンアップしながら、はや半世紀。今年6月3日に長嶋さんが亡くなったあとは「ミスターよ永遠なれ」という冠をつけて高座で披露している。
貞花さんが初めて長嶋さんに会ったのは、伊豆・大仁での自主トレの最中だった。プロ野球情報番組の先駆け「ミユキ野球教室」の企画で大仁ホテルに乗り込み、長嶋さんの前で冒頭の一節をぶった。「長嶋さんはひっくり返って大受けでした」と言う。
巨人監督時代には宮崎キャンプを訪問。着物姿でグラウンドに入ろうとして関係者に止められ、憤然としていたところ、「部屋においでよ」と長嶋さんから言われた。「一緒にお茶をいただきました。最高級の八女茶でした」。長嶋さんの気遣いに感動したという。
愛知県の出身で中日ファン。星野仙一さんらを主人公に野球講談を広め、中日の「球団外広報」を自任。1998年(平10)には「中日ドラゴンズOB会永年ファン表彰」を受けるなど、筋金入りの竜党だ。でも長嶋さんは別格。星野さんから聞いた長嶋さんのエピソードも講談に取り入れ、縦横無尽に楽しませる。
「杉浦忠さん(元南海、立大時代の長嶋さんの同期)ともよくお酒を飲みましたし、大学時代のエピソードもいっぱいうかがっています。半信半疑で講談をお聞きになる方もいらっしゃいますが、ほぼほぼ本当のことをしゃべっています」。1度、貞花さんの講談を聞きに行ってみてはいかがでしょうか。【沢田啓太郎】