その歩みが、光になる。阪神湯浅京己投手(26)が1日、兵庫・西宮市内で契約交渉に臨み、2300万円増の年俸6000万円で更改した。24年に国指定の難病の胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症に罹患(りかん)。手術、リハビリを経て、今年4月29日中日戦(バンテリンドーム)で1軍戦に復帰した。4勝4敗22ホールドでリーグ制覇に貢献。担当医も「歴史を塗り替えてくれている」と活躍を見守る中、22年の最優秀中継ぎ投手は完全復活を目指す。
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笑顔を見せたのは、わずかな時間だった。22年オフ以来の増額となった契約更改を終えての会見。湯浅は球団の配慮に感謝をしながら、もっとやれるという思いを訴えた。
湯浅 防御率もまわりと比べたら、やっぱり高いと思います。いろいろと抹消とかで気を使ってもらいながらの40試合でしたけど、もっとやれた部分はあったなと思うので、来年はシーズン通して1年間やれるように頑張りたい。
防御率0・17の石井、同0・87の及川らとブルペンを守る。病魔と闘ってはいても、負けてはいられない。最優秀中継ぎ投手となった22年の防御率は1・09。今季の4勝4敗22ホールド、防御率2・52の成績を「満足いくものじゃない」と総括した。
とはいえ、1軍戦力でいること自体が驚嘆の難病。今季までDeNAで活躍した三嶋や中日福が病を克服し戦力として復帰した。ただ、17年日本シリーズ優秀選手賞受賞の浜口はソフトバンク移籍後の今年4月に手術。1軍昇格果たせず引退を決めた。
湯浅 (手術する前とでは)体は全然違います。疲れやすいっていうのも感じますし、手術した部分はそのまわりも含めて硬くはなりやすいので、そこは本当にうまくやりながら。
担当医は、今年の活躍を「歴史を塗り替えてくれている」と言ってくれた。その言葉が向上心を支える。
湯浅 もっとその病気に対して力になれることはたくさんあると思うので、これからも少しでも役に立てるならなんでも情報を提供したい。
求めるのは「この体でどう強いボールを投げるか」。トレーニングなどで可能になれば、ホールド・シチュエーションを担う中継ぎとしての復活も、2度目のタイトルも見えてくる。
湯浅 取れるならやっぱり取りたいんですけど、そこが自分にとっての第一の目標じゃないので、自分のやれることをまず積み重ねていくだけ。
湯浅がブルペンから出ただけで、相手の戦意を喪失させる。そんな姿を、取り戻す。【堀まどか】
◆胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症 厚生労働省指定の難病の1つ。脊髄の背中側の胸椎を縦につないでいる黄色靱帯が骨化する疾患。脊髄を圧迫するため、徐々に下半身がしびれて、歩行が不自由になるなどの症状が出る。無症状で偶然発見される場合もある。原因は不明。
<阪神湯浅の胸椎黄色靱帯骨化症からの復活>
◆24年8月25日 「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化切除術」を終え、福島県内の病院を退院したと発表。
◆同27日 鳴尾浜室内で退院後初めてリハビリを開始。
◆9月4日 軽めのランニングと室内でのネットスローを再開。
◆同16日 鳴尾浜でリハビリ開始後初めてキャッチボールを再開。約15メートルの距離で、30球投じた。
◆11月30日 ブルペンでの捕手を座らせた本格投球を再開。
◆25年2月1日 具志川キャンプ初日から全体練習に合流。ブルペンでは真っすぐのみで捕手を座らせて30球投じた。
◆同12日 シート打撃で打者相手の投球を再開。リハビリ開始後、初の実戦形式となった。
◆同22日 227日ぶりに実戦復帰。韓国・ハンファとの練習試合(具志川)に登板し、1回1安打1失点。最速は149キロを計測した。
◆4月29日 中日戦(バンテリンドーム)で約2年ぶりの1軍登板。1回無失点に抑えた。
◆5月23日 中日戦(バンテリンドーム)で1回無失点に抑え、997日ぶりの白星をつかんだ。