応援されるだけじゃダメなんです-。プロスポーツチームの1つのあり方を示す言葉を聞いた。
発言の主は、香月良仁さん(42)。元ロッテ右腕は、現在は九州の独立リーグ「九州アジアリーグ」準加盟の佐賀アジアドリームズで監督を務める。リーグ戦の合間を縫って15日に上京。東京ビッグサイトで始まった「スポーツチーム・アスリート向け総合展2026」に出展したブースで、チームをPRするためだ。
創設3年目を迎えた。他のチームと一風違うのは、多国籍軍であること。今季はインドネシア、スリランカ、カンボジア、パキスタン、インド、韓国、グアム(米国)、日本の8つの国や地域の選手からなる。選手たちが言葉の壁を乗り越えながら奮闘する姿は、バラエティー番組でも紹介されたので、ご存じの方もいるだろう。
もう1つの特徴が、文字どおり地域密着であること。昨年から農業プロジェクトを開始した。佐賀県内の農家から耕作放棄地の提供を受け、選手たちが農作業に従事。そこで作られた米を「ドリームズ米」として、またその米から作られたみそを「夢味噌」として販売した。イチゴ農家とのコラボも実現している。
なぜ、農業なのか。収穫物が選手たちの食材となり、体づくりに役立つのはもちろん、売り上げも貴重な経営資金となる。それだけではない。香月監督の説明が興味深い。
「農家の人たちに足りないものは…と考えた時、作業をする人手でした。選手たちが担うことができる。また、商品を僕たちがPRすることで販路を広げるお手伝いもできる」
ウィンウィンの関係を築く狙いは、表面的な利害にとどまらない。
「選手たちは応援されるだけじゃダメだと思います。選手たちが農家の皆さんを応援するんです。そうすることで、佐賀の人たちが本当に選手たちを応援してくれるようになる」
独立リーグならではの事情がある。「NPBは(ファンが)確立してますけど、独立リーグの場合、例えば明日チームがなくなったとしても、どれだけの人が悲しがってくれるのか」と、率直な思いを口にした。単なるお題目ではなく、生活レベルで地域の人たちとつながりを持ち、本当に愛されるチームになること。独立リーグが生き残っていくために欠かせない視点なのだろう。
準加盟1年目は公式戦は16試合全敗だった。昨季は2勝できた。そして3年目。ここまで4戦全敗だが、4日の宮崎サンシャインズとの開幕戦は7-8の惜敗。力は着実に上がっている。
この日、午前10時過ぎからブースに立った香月監督だったが、来場者はひっきりなしだった。佐賀の特産品をさらに売り出しながら、チームを強くしていく夢がある。【古川真弥】