【とっておきメモ】不屈の木浪聖也 失意の後輩への言葉ににじむ野球観「やり返す気持ちあれば」

阪神対中日 7回裏阪神2死一、三塁、木浪は勝ち越し適時打を放つ(撮影・上田博志)

<阪神4-3中日>◇18日◇甲子園

阪神が連勝で2カードぶりの勝ち越しを決めた。中日戦の開幕5連勝は2リーグ分立後初めて。1点を追う7回に同点として、木浪聖也内野手(31)が決勝の右前打でシーソーゲームに終止符を打った。

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ちょうど1年が経った。阪神木浪は25年4月19日、同じ甲子園で痛恨の3失策をおかした。失点に直結し、試合に負けた。翌日から小幡にレギュラーの座を譲った。キャリアすら脅かしかねない、奈落の底に落ちた。しかし「やり返すしかない。次に向かってやっていくだけ」と懸命に顔を上げた。次、いつ来るか分からないチャンスを信じて、やるべき努力をコツコツと続けた。闘志の炎はひとときも絶やさなかった。

木浪の野球観に少し触れたことがある。23年、凡打を繰り返した後輩がベンチで涙を流した。すぐに近づいて声をかけた。「やり返すだけだよ。その気持ちがあれば大丈夫だから」。今にも折れそうに見えた心に、そっと手を添えた。

自身は試合中に泣いたり、怒りの感情を表に出したりはしない。「まだ試合をやっている。みんな戦っているんだから」。過去は変えられない。現在と未来に何をするか。最も大事にしているのは切り替え。言葉で言うのは簡単だ。「いろいろな経験をしていますから。じゃないと切り替えはできない。それがあっての切り替えです」。何度も苦さを味わってきたのだろう。ここぞの場面に強い理由が分かる。【柏原誠】