【西武】なぜ渡辺勇太朗は大ピンチの場面で主砲レイエスとの勝負を選択したか 背景にあった強い思い

西武対日本ハム 力投する西武先発の渡辺勇太朗(撮影・垰建太) 

<西武1-2日本ハム>◇28日◇ベルーナドーム

西武渡辺勇太朗投手(25)が大きな決断をし、乗り越えてみせた。

1-1の8回、2死三塁。打席には日本ハムの主砲レイエスが向かう。一塁は空いている。申告敬遠でもいい場面で、ベンチも渡辺に判断を任せた。

渡辺はレイエスとの勝負を選んだ。なぜか。

「前の打席で思ったような投球をレイエス選手にできていなかったので、ここは本当に、自分のキャリアというか、自分の成長するという点を見た時に、ここでしっかり勝負しないと上のステージには行けないなと思ったので、勝負を選択しました」

プロ8年目で初めて開幕投手を任されたものの、まだ1勝しかできず、リフレッシュで登録抹消になっていた。中10日。「とにかく長いイニングを」と、すでに7回で100球を超えていたが、8回もマウンドへ向かった。

その8回、先頭打者のゴロを三塁平沢がトンネルし、無死二塁を作られた。渡辺は動じず、むしろ気持ちを強くした。

「こういう場面を僕が抑えたらチームが勢いに乗るかなと思った意味でも、レイエス選手を選んで。ああいう感じで抑えられて。その裏(の攻撃で)満塁までいきましたけど、野球ってけっこう、そういう流れのスポーツなので」

それでもレイエスには本塁打がある。緊迫した試合で怖くはなかったのか。敬遠の選択肢はまるでなかったのか。

「ま、若干迷いはありましたけど、そこで自分に言い聞かせた感じですね。逃げるなっていうふうに、自分に言いました」

追い込んで最後はカットボールが甘く入ったが、空振り三振。渡辺はマウンド上でほえた。

「最後が一番危ないボールだったんですけど、本当にそこはもう、気持ちがボールに乗ってくれたというか。あそこは改善点ですね。熱くなった中でもしっかり最後は投げきらないといけないので、あそこは運で何とか抑えられたって感じなので」

それでも渡辺の決断とその結果に、多くのファンも拍手喝采だった。

「仲間のミス、カバーしてこそチームの中心となる存在だと思うので」

渡辺はカタカナ3文字を口にしなかったが、そう呼ばれる存在になるために戦いに挑んでいる。【金子真仁】