立大の“部長先生”のあたたかさに、もう1度触れた日

東京6大学野球リーグ 早大対立大 笑顔で微笑む立大野球部部長・山口和範(撮影・会田京叶)

<We love baseball>

東京6大学野球リーグの取材で訪れた神宮球場で、久しぶりに先生に再会した。試合前の慌ただしい時間に立大野球部部長の山口和範先生は、以前と変わらない穏やかな表情で「元気にしてる?」と声をかけてくれた。

今年3月に立大を卒業した私は、2年時から山口先生の統計学ゼミに所属していた。授業だけではなく、進路や悩み事まで何度も相談に乗っていただき、テニス部に所属していた私の大事な試合前には食事に連れて行ってもらったこともある。学生ひとり、ひとりをよく見て、いつも自然体で寄り添ってくれる山口先生はゼミ生たちからも人気があった。卒業後久々に会った際に、実は野球部でもモチベーター的な存在だったことを知った。

監督やコーチには言いづらいことでも「部長先生なら相談できる」そう思わせてくれる空気がある。選手との距離感が近く、何げない会話の中で学生の緊張をほぐし、不安を和らげることを意識していると教えてくれた。

試合前のミーティングでは、山口先生の言葉から空気が始まる。明るく、時にユーモアを交えながらチームを前向きにしてくれる。その存在に救われた選手は少なくないだろう。

3安打1打点の活躍をみせた長島颯内野手(2年=東農大三)も、そんな先生の存在に感謝する1人だ。

「試合中も前半戦で2桁失点が続いたが“落ちちゃいけないよ”ってベンチの後方から声をかけてくれる。チームの雰囲気を良くしようとしてくれる存在でした。いなくなったら、どうやって試合に入っていけばいいのかわからないくらいです」

技術を教えるだけではなく、“人”を支える。「野球のことはよくわからないからさぁ、飯でも連れて行って愚痴を聞いてあげるんだ」と陽気に笑う山口先生は、まさに縁の下の力持ちなんだと思う。

29年春開学予定の佐賀県立大学(仮称)の初代学長就任に伴い、今年で立大野球部を離れるという。新しい挑戦へ向かう先生を多くの学生や選手たちが応援している一方で、私自身もやはり寂しさは大きい。

変わらない優しさと、相手を安心させるあの空気感に触れ、「やっぱり先生は先生だな」としみじみと感じた。社会人になったばかりの自分も、また先生の言葉や存在に背中を押されている。【会田京叶】