<東京6大学野球:東大8-5法大>◇第5週第2日◇10日◇神宮
9年ぶりの勝ち点は東大野球部関係者たちにとって大きな悲願だった。元ロッテ渡辺俊介氏を父に持ち、東大で昨年エースを務めた渡辺向輝さん(22)は「(試合の)配信を見て声出してめちゃめちゃ応援してました」とイニングを重ねるごとに興奮がやまなかった。勝ち点奪取の瞬間を生配信で見届け「とにかくすごいの一言でした」と手放しにほめたたえた。
続けて「最大の勝因はピンチでも長打だけは打たせない配球を積み重ねた(捕手の)明石と、それに応えた投手陣だと思います」と後輩たちをたたえた。この日はベンチから外れたが、自身の卒業以降は第1戦を託されている松本慎之介投手(3年=国学院久我山)について「重圧の中で結果を出し続けた松本を心から尊敬しています。本当におめでとうございます」と述べた。
在学中は当初は上投げ、横投げを織り交ぜていたが、2年春にロッテで活躍した父と同じく下手投げへ完全転向。リーグ通算30試合で4完投、1勝13敗、防御率5・07の記録を残し、4年時には大学日本代表候補にも選ばれた。同学年は他に杉浦海大捕手(現日本製鉄かずさマジック)が主将を務め、酒井捷(仙台二)、大原海輝(県浦和)、中山太陽(宇都宮)の「ベストナイントリオ」が在籍。投打に充実の戦力を抱え下馬評は高かったが、春は10戦全敗。迎えた秋は慶大と法大に1勝ずつして計2勝するも、勝ち点を奪うまであと1歩及ばなかった。
悲願の勝ち点を-。チームスローガン「勝撃(しょうげき)」という2文字に込めた後輩たちが、9年ぶりの快挙をもたらした。渡辺さんは「杉浦が作った他大学と勝負ができて当たり前という自信と文化が、(現主将の)堀部の尽力のもと、冬を越えて実力と結び付いてくれたからだと思っています。特に、ベンチに入った中継ぎや控え野手まで全員が試合に入り込み、与えられた機会で必ず結果を出しているというのは、東大野球部という組織としての成長であると感じました」と後輩たちの成長ぶりに頼もしさを抱いた。
選手としての野球キャリアを終え、今春からは一般企業で働き始めた。「後輩たちの活躍は自分ごとのようにうれしいです。組織として次の世代につなげげる何かを残していくことが、とにかく大事なのだと思いました。今回の試合を見た高校生が、また夢を見て東大野球部に入ってきてくれたらとてもうれしいです」。後編たちの活躍に刺激をもらい、週の始まりに会社に向かう足取りも軽いに違いない。
◆渡辺向輝(わたなべ・こうき)2004年(平16)2月25日生まれ、千葉・浦安市出身。小3から浦安ベイマリーンズで野球を始め、中学は海城(東京)軟式野球部、高校は同校硬式野球部。高3夏は城北に初戦敗退。東大では当初は上投げ、横投げを織り交ぜていたが、2年春にロッテで活躍した父俊介氏と同じく下手投げへ完全転向。右投げ右打ち。