西武の育成2年目、ラマル外野手(20)が10日までに、再びバットを握った。まだ振れない。バントのみ。「今日で2日目です。焦っちゃいそうになりますけど、焦らずにゆっくりやらないといけないので」。球団の室内練習場でそう話した。
5月になって松葉づえが外れたばかり。2カ月前、3月7日。ロッテ浦和球場での教育リーグ・ロッテ戦で、予期せぬ出来事に見舞われた。打球を追いかけ、仲間と衝突した。担架で運ばれ、その後、公の場から姿を消していた。
「手術して、入院して、松葉づえも長くて。やっと松葉づえが取れました」
左前十字靱帯(じんたい)の断裂に、ひざ部の骨折という大けが。「一生懸命プレーした結果なのでしょうがないと言ったらしょうがないんですけど、調子も良かったのでもったいないなと」。今季中の実戦復帰は極めて難しい。
前日の3月6日、ラマルの魅力を存分に示していた。カーミニークフィールドでの教育リーグで、左翼へ完璧な本塁打を放った。「本当に完璧でした。あれだけ打席の中で振れたのは久しぶりでした」と話す。
大阪桐蔭出身のスラッガー候補として十分すぎるアピールをした直後だっただけに、運命のいたずらは残酷だ。「ほんと、そうっすよ…」と苦笑いするしかない。
期待は大きかった。練習を見つめた辻竜太郎ファーム野手チーフコーチ(49)も「ラマルとオケムも本当に成長してきた。今年、2人には期待してて。本当にもったいない…」と声を落とす。
ラマルと同期入団、同じ育成契約、同じポジションのオケム外野手(20)も2月のキャンプの練習中に、同じように左前十字靱帯(じんたい)を断裂し、同じように来季の実戦復帰を目指す立場にいる。
「ほんと、なんで2人とも、って。ここからどうやって練習していこうか、とかたまに話してます。まだペアでの練習とかはしてなくて。オケムの方が若干、先に進んでるので。僕は骨折もしちゃったので」
同じく同期で、中学時代から対戦がある篠原響投手(19)は、1軍戦で158キロを投げた。ラマルは「かぁー、すげえなぁ、って感じっすよ」とたたえる。たたえながら、一方では「試合見てると頑張れって気持ちと、悔しいって気持ちで複雑で」
それなのに自分にできることはまだ少ない。気持ちは焦っても、足には無理させられない。故障前には「ラマルが今年の支配下昇格の大穴候補」と予感する球団関係者もいた。
「来年こそ結果を残したいです。一番、存在感が残るようにしていかなきゃいけないので」
長い夏、秋、冬へ。次なる春に光り輝く。【金子真仁】