4連勝の好調西武に“球界史上ただ1人”の存在がいる。
プロ7年目の柘植世那捕手(28)だ。漢字で4文字。読んでも「つげ・せな」で4文字。この“4文字&4文字”の選手はNPBの長い歴史で他に誰もいない。11日現在、今季4安打で打率は4割4分4厘。応援歌でも歌われる“獅子(しし・44)の男”が縁の下で獅子を支える。
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打率8割を誇っていた柘植が9日、スタメンで無安打に終わった。「今のうちに打っておかないといけないのに。打率っすか? 今日で4割4分4厘になっちゃいましたよ」と嘆く。言っている本人はまるで気付いていない。ここでも「4」に縁がある。
3年前の2月。キャンプ中に柘植が言った。「僕、漢字でもひらがなでも4文字なんですよ。他にいるんですかね?」。依頼を受け、日刊スポーツ記録室が調査。NPB史上唯一の存在ということが判明し「やった!」と喜んだ。「なかなかいないんですよ。うちは多いんですけどね。弟は柘植礼雄(つげ・れお)だし」。レオの兄がレオ軍団に。これはエモい。
「だいたいみんな、タクショクって読むんですよね」という柘植も難読名字だが、世那の名も珍しい。「私も4文字。柘植真紀(つげ・まき)です」という母が由来を回想する。
「私が妊娠中に、ドラマのロングバケーションやってて。主人公が瀬名さん。キムタク。あぁ、かっこいいな~って」
2文字名前は珍しくとも、こだわりもあった。
「例えば陽一郎ならヨウちゃんとか、あだ名が付くじゃないですか。そう言われちゃうのイヤで。せっかく付けた名前だからフルネームで呼んでほしい。世那ならセーちゃんとかいう人、いないでしょ?」
幼少期に母方の姓に変わり、かくして球界唯一無二の名が誕生した。「キムタクっぽくなればいいな~って思ってたけど、ご覧の通り、ワイルドになっちゃった」と母は笑う。渋い働きは好調西武に欠かせない。佐藤爽投手(23)のプロ初登板初勝利をリードしたのは柘植世那、チームの潤滑油的な存在なのが柘植世那だ。「今年はもう、やるしかないっすからね。1つ1つのチャンスをつかめるように」。もっと目立って、4文字&4文字界の天下を取る。【金子真仁】
◆柘植世那(つげ・せな)1997年(平14)6月3日、群馬県生まれ。健大高崎からホンダ鈴鹿を経て、19年ドラフト5位で西武入り。通算214試合に出場。好きなチェーンは群馬が誇る鳥料理の専門店・登利平。右投げ右打ち。
◆プロ野球界の名前いろいろ 長い名前でまず浮かぶのが、ナショナルズ小笠原慎之介投手。6文字では元西武の多和田真三郎投手も有名だ。2人をしのぐのが阪急などでプレーした赤根谷飛雄太郎投手。元ロッテの下敷領悠太投手や、元横浜の中野渡進投手などは「ユニホームの背ネームが長い」でも知られた。「4文字&4文字」は柘植世那のみだが、元広島の佐野真樹夫内野手ら「5文字&5文字」はこれまで4選手いる。読み仮名4文字の選手は巨人の田和廉(たわ・れん)投手、元広島の辻空(つじ・そら)投手や、元西武の小野剛(おの・ごう)投手、元楽天の和田恋(わだ・れん)外野手らがいる。