<ヤクルト4-2阪神>◇13日◇神宮
ヤクルトが終盤の粘りで阪神相手に連敗を阻止し、首位に返り咲いた。試合をひっくり返す力となったのはドラフト6位・石井巧内野手(24)だった。1-2で迎えた8回無死二塁。フルカウントから阪神桐敷の内角球をうまくさばき、右中間へ。プロ初安打は敗色濃厚のチームを救う、同点適時二塁打となった。
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ヤクルト石井に「憧れ」の世界で変化があった。2月の春季キャンプは1軍スタート。1月の新人合同自主トレと合わせて1カ月ほど経ったころ、成長できている面を聞いた。「食べるのがめちゃくちゃ遅くて『遅いな』と周りに言われていたけど最近ちょっと速くなりました」。意外な回答だったが、短い時間で食べる機会が多い、新たな場所での生活に順応していることのあらわれだ。
栃木・那珂川町の実家は米農家。室町時代から約600年の歴史があり、現在はコシヒカリの「石井米」というブランド米を育てている。幼少期には手伝いで田植えや稲刈り。「(両親から)一粒でも残したら怒られてしまう。おいしい焼き肉屋さんに行ったとしても、ご飯は石井米を食べたいなって思ったり」。この日は両親が観戦しておりウイニングボールを手に「この後渡したい」。白米のように、勝利に“欠かせない”活躍で親孝行をした。
ともに育った兄は西武の石井一成。「兄の試合をよく見にいっていてかっこいいなと思ったのが野球を始めたきっかけ。憧れの存在です」。背中を見てきた兄と同じ世界に飛び込んだ。「小さい頃から憧れの舞台だった」「活躍するのが夢だった」と話してきた場所で躍動を始めた。【塚本光】