<日本生命セ・パ交流戦:阪神2-3西武>◇3日◇甲子園
西武が強い。チームも応援団も強い。甲子園の観衆は4万2618人。一方で獅子党が声を張れる「ビジター応援席」はこの日、甲子園左翼席上段の1ブロックのみ、約600人。彼らの103デシベルの第一声に近くの虎党が「うわっ、すげ~」と目が真ん丸に。「前回は2ブロック、今回は1ブロック。みんな気合入ってます。夜行バスで寝ずに来た人たちもいます」と都内から来たファンは燃えた。
場外で2番滝沢の応援歌が70デシベルで聞こえる。大阪方面へ歩く。午後6時、車の往来など人々の営みが街に響く。鳴尾中前では阪神森下の応援歌が51デシベル。さらに歩き、2回表の西武の攻撃開始のメロディが聞こえ、数十秒ほど車の音が記者の耳を支配した。そして奇跡が起きた。「ウォウォウォ、ラーイオーンズ♪」が聞こえる。
得点が入った証だ。時間軸を考えれば4番タイラー・ネビン内野手(29)が先制ソロを打ったのでは-。スマホを見る。正解。場所は甲子園球場から650メートル東、阪神電鉄「鳴尾・武庫川女子大前」駅のそばだった。西武ファンの声援は1駅分、背中の方向へ飛んだということだ。ネビンは「応援の声、すごく聞こえたよ」と振り返ったが、1駅分届くなら当然だ。
南や西へ歩く。阪神ファンの声援は瞬間的で続かない。渡辺勇太朗投手(25)が後続を断ったと分かる。ぐるっと1時間歩いて再び球場へ。あと300メートル。明瞭に聞こえた立石の応援歌がついえ、瞬時に歓声がわくも、すぐしぼむ。渡辺がまた抑えたんだな。試合は5回表へ。パ連盟歌「白いボールのファンタジー」の合唱が63デシベルで右翼場外まで届く。誇り高きその名はパシフィック・リーグ。その首位チームとして堂々と敵地で勝った。【金子真仁】