日本球団が熱心になる台湾市場 来季セDH制採用でどうなる外国人補強/寺尾で候

台湾出身の日本ハム古林睿煬(2026年5月撮影)

<寺尾で候>

日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。

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プロ野球は交流戦がたけなわだが、チームを支える球団フロントもここから慌ただしくなる。来シーズンのチーム構想を実現するため奔走することになるからだ。

特にセ・リーグ各球団の補強戦略は、これまでと違った視点での動きを強いられる。来季から「指名打者制度(DH)」が初採用されるため、新外国人のリストアップは重要なポイントになるからだ。

いかにセ・リーグの各球団が“DH対策”に乗り出すかは興味深い。前ほど外国人への依存度は高くないかもしれないが、やはり助っ人補強の成否がチーム成績に影響する傾向は根強い。

セ・リーグのDH制導入が正式決定したのは、昨年8月4日のリーグ理事会の場だ。セ・リーグの6球団が了承すれば、今シーズンから導入することは可能だった。

だがセ・リーグは「9人野球」を前提にチーム編成してきたことを理由に、26年を「DH制採用のための猶予期間」と先延ばし、わざわざ27年シーズンに採用するとした経緯がある。

DH時代に突入するプロ野球史の転換点。これまで指摘されてきた是非についてはここでは触れない。だがここから外国人のスカウティング力は今まで以上にチーム強化を左右する。

駐米スカウト、渉外担当のリサーチ力は大きくなる。朝はグラウンド、昼はゴルフ場の渉外担当もいた。せっせと航空マイルをためて家族で欧州旅行の足しにした人も知っている。はたから見ていて、おいしくて、気楽だなぁと思ったこともある。

ただ最近の外国人獲得事情は世界経済によって異様に難しくなっているのが実情だ。ただでさえ大リーグ市場が狭くなっている上に、円安の進行で獲得にかかる経費が異常に高騰しているのだ。

名実ともにバリバリの大リーガーが来日したのは今は昔。しかも今年に関しては、12月の労使交渉によってストライキに突入することがあれば、メジャー選手は日本に来ないといった見方が大勢を占める。

そうなれば必然的に3A以下の選手になるが、これまた獲得資金の高騰で悩ましい。前は総額100万ドルで契約が成立した外国人は、現在は3倍がマーケットの相場という。

また所属先球団に支払うトレードマネーも、約5000万円相当だったのが、現在は倍増している。複数年契約となれば、外国人で失敗した場合は、莫大(ばくだい)なリスクを負うことになる。

そこで日本の各球団はメジャーでなく、ドミニカ共和国、キューバ、ベネズエラなど、まだ安価に獲得が可能な中南米にターゲットを定めるケースが多くなったというわけだ。

仮に中南米の選手がメジャー最低年俸77万5000ドルでプレーするとする。その場合のサラリーは日割り計算されるが、日本は全額を保証するから、日本行きを拒むケースは少ない。

ここにきて日本の球団が熱心になっているのが台湾市場だ。6月中には高校球児の全国大会が開催され、そこには日米スカウトが入り乱れる。なかなか即戦力というわけにはいかないが、将来戦力の発掘を狙う。

大学進学、台湾プロ野球(CPBL)を経ずに“青田買い”されるケースは年々増加。直接、日本、米国に流出するプレーヤーが目立ってきて、台湾市場のマークも必要になってきた。

もっともDH制が導入されても、日本人でカバーするという球団もあるかもしれない。金満球団が金にモノを言わせて強奪しても吉と出るとは限らない。ただどのチームも“DH対策”で可能性を追うことになりそうだ。