【こんな人】阪神木下里都の「愛され力」 社会人時代はカーディーラー 同僚が明かす素顔

中日対阪神 2番手で登板し力投する阪神木下里都(撮影・上山淳一)

<中日1-3阪神>◇16日◇バンテリンドーム

2年目の阪神木下里都投手(25)が待望のプロ初勝利を挙げた。0-1の6回に2番手でマウンドへ。

「試合を左右するところで投げさせてもらっているので、ゼロで(無失点)という意識でした」

先頭の中日村松に外角157キロを見極められて四球を献上。「低く低く。これ以上出さないように」。4番サノーを内角ツーシームで一邪飛。続く石川昂は内角球で詰まらせて遊ゴロ。最後は石伊を高めの155キロで空振り三振に斬った。

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「皆様に安心と感動をお届けします」。24年12月の新人選手入団発表会後。テレビカメラを前に、阪神木下里都投手(25)はカーディーラー仕込みの営業スマイルで自らを売り込んだ。ここぞの場面を任される安心感と、勝利に導く快投を誓った。

福岡大卒業後2年間、社会人のKMGホールディングスでプレー。社業は車の営業担当。練習は平日4時間で、チーム方針は社業優先だ。木下は40人ほどの顧客を担当していた。お茶出しに点検案内など、営業マンとして笑顔で接客。ドラフト会議翌日も「あいさつしたいので、行かせてください」と、普段通り朝9時から店舗に立った。

大学1年時に本格的に投手転向。ダイエーなど通算92勝右腕、加藤伸一監督の指導により周囲も驚くスピードで成長。「プロにいきます!」と宣言していた。同社でともにプレーした本田建都投手兼投手コーチ(30)は「めちゃめちゃ負けん気は強かったですね、何においても。ピッチング以外の練習でも、走りとかジャンプとか、自分よりいい記録出す子に絶対に負けないというような感じの子だった。『俺が投げる』という強い気持ちがありましたね」と振り返る。2年目の都市対抗2次予選では全3試合に先発し、本大会出場に導いた。

木下の活躍は今や野球部だけでなく、社員や顧客の間でも話題に。プロ初先発だった5月28日の日本ハム戦(甲子園)では当時の投手陣が入るLINEグループで「頑張れよ!」とメッセージをもらい、マウンドに上がった。「明るくて、店舗でも悪い話を聞いたことがなかった。みんなに愛されていますね」と本田投手。名前には「人が集まるように」という願いが込められ「都」の字が入る。持ち前の愛され力で、プロの世界を渡り歩く。【村松万里子】

◆木下里都(きのした・りと)2001年(平13)1月27日生まれ、福岡県出身。福岡舞鶴では1年夏からベンチ入りし、同年秋から正遊撃手。福岡大1年時に投手転向。4年春に全日本大学選手権出場。KMGホールディングスを経て、24年ドラフト3位で阪神入団。25年5月29日DeNA戦でプロ初登板。今季推定年俸1200万円。183センチ、89キロ。右投げ右打ち。