プロ野球オーナー会議と日本プロ野球選手会(ソフトバンク近藤健介会長)は28日、都内で史上初の公式会談を行った。
両者は球界全体の意思決定の迅速化や、年1回の定期的な対話の場を設けることで合意した。04年球界再編時に「たかが選手」発言で対立した歴史もあったが、球界の未来に向けて協調していくことで一致。競技人口の減少やMLBとの年俸格差など様々な課題に対し、対話を重ねながら解決に向けて取り組んでいくという、両者にとって歴史的な転換点となった。
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歴史的な会合はMLBとの格差に強い危機感を覚えた選手会側からの働きかけにより実現した。会談後、記者会見に臨んだ近藤健介会長(32)は「歴史的な1日になった」と感慨を語った。背景にあるのは、今年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で選手たちが肌で感じたMLBとの仕組みの差だった。「翔平(大谷)やメジャーの選手たちと話す中で、実力だけではない仕組みの差、スピード感を痛感した。選手会で会議を重ねても毎回同じ議題が繰り返され、話が前に進まないというもどかしさがあった。意思決定のあり方そのものを変えなければならないという危機感を持っていた」と明かした。
会談では、オーナー会議を代表して巨人山口寿一オーナー(69)が「NPBの事業規模拡大」「日本野球の国際的価値の向上」「野球の裾野拡大」「DX化とデータビジネスの推進」の4項目の課題を基調プレゼンテーション。これに対し、出席した12球団の選手会長がそれぞれ意見を述べた。特にシーズン中に開催される28年ロサンゼルス五輪を控える中、国際大会における投手の故障リスクや過酷な環境に対する選手側の懸念などを伝えた。
オーナー側からは、今後は年に1回の直接対話の場を設けること、そして球界全体の意思決定を迅速化していくことが約束され、前向きな共同声明の発出に至った。プロ野球の決議方式は多数決となっているが、実際には全会一致を重んじる慣習があり、制度が変わりにくい背景がある。近藤会長は「私が会長を務める間に、少しでも日本の野球界を前へ進めたい。その第1歩を踏み出せた」と話した。【鳥谷越直子】
巨人山口オーナー「いろいろな話ができて有意義だった。(くじ導入は)肯定的に受け止めてくれているんじゃないかと思いますけどね。ただし、いろいろ気をつけなければいけないことはたくさんありますよね。誹謗(ひぼう)中傷対策が重要だと思っています」
広島松田オーナー(野球くじの使い道は)「野球振興に一番。主に軟式野球。中学生の。参考になる話がたくさんあった。選手と話ができたのが一番」
ヤクルト林田球団社長兼オーナー代行(野球振興くじについて)「考えていることを確認し合った。今日はそこまで深く話していない。選手にどうメリットが出ていくのかが大事」
DeNA南場智子オーナー(オーナー会議議長)「お互いがコミュニケーションのパイプをつくったということで非常に意義がある。共通課題に対し力を合わせて解決していくという意味で画期的な会談でした」
○…今月16日のプロ野球のオーナー会議で検討が始まった「野球振興くじ」について、会談中に説明があった。選手会は競技人口減少や部活動支援の財源確保という目的に一定の理解を示しつつも、慎重に協議を続ける姿勢をとった。
1球ごとの結果などを対象とする「スポーツベッティング」に対しては、八百長を誘発する恐れもある。近藤会長は「ファンからの誹謗中傷を過熱させる可能性もある。オーナーの皆さんも同じ認識であり、選手会としても断固反対です」。新たな法整備や、ギャンブルによる収入を中学生の支援に充てることへの倫理的ハードルも残されている。
【出席者】
◆オーナー側
阪神 秦雅夫
巨人 山口寿一
ヤクルト 林田哲哉代行
DeNA 南場智子
広島 松田元
中日 加藤宏幸代行
ソフトバンク 嘉数駿編成育成本部副本部長
西武 奥村剛代行
日本ハム 井川伸久
オリックス 井上亮
ロッテ 重光昭夫
楽天 森井誠之代行
◆選手会側30人
労組プロ野球選手会・近藤健介会長(ソフトバンク)源田壮亮(西武)松本剛(巨人)両副会長、一般社団法人日本プロ野球選手会・大瀬良大地理事長(広島)
12球団選手会会長と副会長