<第20回全日本中学野球選手権記念大会ジャイアンツカップ>◇12日◇東京・府中市民球場ほか◇2回戦8試合
悪天候で会場と開始時間を大きく変更して、ベスト8が決定した。リトルシニアの夏の王者・武蔵府中リトルシニア(東京)がボーイズリーグの夏の全国準優勝・多摩川ボーイズ(東京)に1-7で敗れた。ほかに、浦和リトルシニア(埼玉)、愛知西リトルシニア(愛知)、兵庫伊丹ヤング(兵庫)、青森山田リトルシニア(青森)、大島柴島ボーイズ(大阪)、取手リトルシニア(茨城)が準決勝に進出した。
【時間と開場変更、中断のち激闘】
開始を3時間10分遅らせ、駒沢球場から府中市民球場に変更して行われた一戦。敗れた武蔵府中の応援席から「フレー、フレー、ジャイアンツ」のエールが送られた。プロ野球巨人を母体にして、ユニホームも同じ多摩川の健闘を祈る、心のこもった声援だった。
一方の多摩川の応援席からのエールは「グラウンド整備ありがとうございました」と、御礼の言葉から始まった。開始直後の強雨で、1時間中断した。再開にこぎ着けたのは、地元武蔵府中の保護者を中心にしたグラウンド整備があったから。両チームの選手がユニホームを汚すことなく、再びプレーボールを迎えられた。
2回表に武蔵府中が江川颯生(3年)の犠飛で1点を先制した。
3回裏、多摩川は小池樹里(3年)の二塁打、関蓮太郎(3年)の三塁打、堀之内拳(3年)の右前打で2点を奪い逆転した。
4回裏には3四死球に4安打を絡め5点を追加した。
武蔵府中は併殺を奪い、大きな外野飛球を背走して、何度も好捕した。防戦一方だったが、最終7回は気迫をみなぎらせて1死満塁とした。打席の高野煌大主将(3年)は強いゴロを放ったが、併殺で試合が終わった。
高野主将は「日本一になって、ゆるみがあったかもしれません。集中力がありませんでした。選手権でこうやったら勝てることが分かったのに、こうなったら負ける形になってしまいました」と悔やんだ。
武蔵府中がリトルシニア日本選手権に優勝したのは6日前だった。MVPを受賞した右腕・小田基生(3年)が負傷のためベンチを外れ、この日先発した高橋湊(3年)が中断の影響で足がつるアクシデントがあった。
ただし、小川紀輝監督はそれを言い訳にせず「うちはこんなものです」と振り返った。気力、体力、一致団結。すべてがかみあえば、日本一まで駆け上がれるが、ずれが生じるともろく崩れる。天と地を味わった1週間。選手の野球人生に何より濃密な時間になったと信じている。
多摩川ボーイズは現在の3年生が1期生。能力の高い野球少年が集まり、昨年のジャイアンツカップでは3年生のチームを次々倒し、4強入りした。武蔵府中とは何度も練習試合を行ってきた。小川監督は「個々の力がずば抜けている。その相手にうちも五分五分ぐらいで戦うことができた。個が強い相手に、どうすればいいのか身をもって知ることができました。だから、多摩川ボーイズとこの時期に試合ができてすがすがしい気持ちですし、彼らの成長がうれしいんです」と明かした。
多摩川ボーイズのベンチで同じように笠井駿コーチが感激していた。武蔵府中OBで元巨人選手だった笠井コーチは、現役引退した5年前から野球少年を育てるジャイアンツアカデミーで指導者の道に進み、結成当時から多摩川ボーイズを育ててきた。
「武蔵府中のみんなとはこの2年半、切磋琢磨(せっさたくま)させてもらいました。今日の試合は点差が開きましたが、1歩間違っていれば、逆にやられていたかもしれません。最後の満塁も、彼らの意地を感じました。武蔵府中と何度も試合してきたことで、いいチームになれたのかもしれません。個々の中にチームがあるのか、チームの中に個があるのか。特に今日の試合はそのバランスがうまくとれていたと思います。そうなってくれたうちの選手も素晴らしいし、切磋琢磨してきた武蔵府中が日本一になったのは、OBとしてだけでなく、本当にうれしかったです」。
勝った多摩川ボーイズはジャイアンツカップの記念大会での初優勝を目指す。
敗れた武蔵府中リトルシニアは中学硬式野球の5団体の夏の王者が集まるエイジェックカップグランドチャンピオンシリーズ(26日開幕=東京・明治神宮球場ほか)で最後の大会に臨む。
高野主将は「最後は全員で終わりたいです。もう1回、集中します」と誓った。
▽2回戦
中本牧リトルシニア(神奈川)5-7浦和リトルシニア(埼玉)
武蔵府中リトルシニア(東京)1-7多摩川ボーイズ(東京)
守山リトルシニア(滋賀)5-7愛知西リトルシニア(愛知)
兵庫伊丹ヤング(兵庫)2-0高松ボーイズ(香川)
甲府南リトルシニア(山梨)5-4
飯塚ボーイズ(福岡)
取手リトルシニア(茨城)14-1 大分明野ボーイズ(大分)
京葉ボーイズ(千葉)6-7大阪柴島ボーイズ(大阪)
明石ボーイズ(兵庫)1-7青森山田リトルシニア(青森)