【カープ番コラム】中日戦勝ち越しは4回の攻防が勝負の分岐点、すべてを変えた大盛穂の一打

2026年9月3日、中日対広島 4回表広島2死満塁、2点適時打を放ちベンチへ向かってアピールする大盛穂

<中日2-5広島>◇3日◇バンテリンドーム

前日に痛恨の逆転負けを喫した広島にとって、連敗となれば昨季のような“9月の急失速”と重ねられていたかもしれない。それだけに逆転勝利をやり返し、カード勝ち越しを決めたことは、逆転CSに望みをつなげること以上に“9月の悪夢”を払拭(ふっしょく)する1歩となるかもしれない。

勝敗を分けたのは、4回だ。1点差とし、なお無死二、三塁。中日内野陣は定位置だった。まだ試合は中盤。序盤3回までの栗林良吏投手(30)の投球内容からも、傷口を広げたくないと判断しても不思議ではない。一方で広島サイドからすると、この回に最低でも追いついておきたいと思っていたに違いない。

それだけに、打席の7番持丸泰輝捕手(24)に求められたのは、内野ゴロだった。転がせば、三走の菊池涼介内野手(36)は生還できる。最低限以上の結果だ。多くを求めて強振して三振や三走の本塁アウトで流れを悪くし、8番、9番に託す展開は避けたい。

中日内野陣も守備位置を動かしながら揺さぶりをかけてきたが、持丸はきっちり見極めて四球を選んだ。

無死満塁。中日内野は前進守備を敷く。一見、好機が広がったようにも見えたが、無得点に終わる可能性も高くなったように感じられた。野手の間を抜くか、もしくは犠飛を求められた8番勝田成内野手(23)だったが、初球を見逃して自らを苦しくしてしまった。結果、空振り三振となった。

続く9番栗林に代打を送る場面でないことは両軍、想定済み。中日内野陣は当然、前進守備のままだ。栗林は前の打席までの通算31打席で外野に打球が飛んだのは1安打と右飛の2度のみ。中間守備であれば、ボテボテの併殺崩れも期待できたかもしれないが、前進守備は当然の選択でもあった。

広島は併殺を免れるために「待て」のサインを出してもいい場面だったが、栗林は1ボールから3度バットを振った。“果敢な姿勢”といえば聞こえはいいが、ヒヤリとさせられた。幸い1度当たった打球はファウルとなり、結果は空振り三振。望みを1番につないだ。ただ、状況は無死満塁から2死満塁と変わり、敵地にはリードを保つ期待感が充満していた。

この日2つのフライアウトに打ち取られていた大盛穂外野手(30)は、2球で追い込まれるとバットを短く握り直した。カウント1-2からの5球目スライダーをバットの先に何とか当てた打球は力なく飛んだが、遊撃後方に落ちる逆転の2点打となった。バットを短く握った分、力が伝わった打球が、遊撃の村松が伸ばしたグラブを越えたように感じられた。

「前回(栗林が登板した8月27日DeNA戦)は僕が守備で足を引っ張ったので、今回は僕のバットで(栗林)良吏を助けてあげたいという気持ちで打席に入りました」

援護してもらった栗林は、3回まで毎回の5安打2失点から、4回以降は7回までわずか1安打。完全に立ち直った。新井貴浩監督(49)も「あれがすごく大きかった。最後は難しいスライダーだったと思うけど、本当に食らいついていいタイムリーヒットだった」とたたえた。大盛の逆転打は、無死二、三塁から2死満塁とした悪い流れを変えただけでなく、栗林をも変える一打となった。