来季からのDH(指名打者)制導入が決定しているセ・リーグ。投手が打席に立つ「9人制野球」の歴史が、まもなく幕を閉じようとしている。今季ここまで、投手の本塁打は5月20日の阪神戦(甲子園)で中日マラーが放ったわずか1本のみ。ペナントレースも残り約1カ月。歴史にその名を刻む「ラストホームランピッチャー」の称号を手にするのは誰か。読者686人の投票と、各球団の担当記者のイチオシ選手で、候補を予想した。
【阪神】
無双左腕はバッティングも好調だ。ここまで両リーグトップ13勝を挙げている高橋は、打撃でもキャリアハイの6安打をマークしている。1日ヤクルト戦(神宮)では、5回に先制決勝打を放つなどマルチ安打をマーク。「めっちゃいい感触で、やっぱりバッティングも打てたら楽しいなと思いました」と顔もほころんだ。オフには同郷の先輩の岩崎から「自分は(最多でシーズン安打)4本なので5本打ってください」とノルマを課されていたが、すでにばっちりクリア。さらにアーチをかけて、先輩を驚かせる?【磯綾乃】
【巨人】
巨人には「持ってる男」がいる。6月加入の小笠原は、東海大相模のエースだった15年夏の甲子園決勝、6-6の9回に右中間へ決勝ソロ本塁打。投手の決勝戦Vアーチは、春夏通じ史上初だった。投手としても完投勝利で、45年ぶり2度目の日本一に導いたが、なんとこの1本が高校公式戦第1号でもあった。いまも打撃は大好き。大リーグの強打者シュワバー、同僚のキャベッジなどのモノマネ打法で打感を磨く。6日広島戦では野手顔負けの打球速度171・9キロの弾丸ライナーを中前にお見舞いしたばかりだ。【阿部健吾】
【DeNA】
中川颯と藤浪はプロで本塁打を記録したことがある2投手だ。入江は作新学院(栃木)時代に夏の甲子園で3試合連続本塁打をマークし、打席での風格は野手顔負け。イチオシは東だ。エース左腕は打撃センスも光る。DH制の導入決定後には「全打席ホームランを狙っている」と語っており、プロ1号で歴史に名を刻めるか。現在守護神を務めるレイノルズは元野手で春季キャンプやオールスターの打撃練習では柵越えを連発。打席に立つことがあるならば、期待せずにはいられない。【山本佳央】
【ヤクルト】
イチオシは勝ち頭でもある山野だ。今季は開幕から出場3試合連続安打。打撃でも目立った。しばらく快音は響いていなかったが8月12日広島戦で13試合ぶり安打。同26日の巨人戦では第1打席、7球目に四球を選び、第2打席では粘って11球目を飛ばした。あと少しで本塁打となった右翼フェンス直撃の安打。スタンドイン間近だった。小川は過去3本塁打を放った経験あり。増居は7打数1安打も、1本が二塁打。ウォルターズはリリーフ起用が続くも、入団会見で「ホームランを打ちたい」と宣言していた。【塚本光】
【中日】
アンケートで2位の104票を集めたマラーは、投手ながら高い打撃能力も持つ。今年5月には甲子園で来日1号2ランを放った。9月5日のヤクルト戦(神宮)では、NPB+によると打球速度176・2キロの左飛を記録。この日の両チームの打球速度ランキングでは、ヤクルトのサンタナや石川昂を上回って1位で、野手顔負けの打球を披露した。柳も試合前から積極的にバットを振り、明大の先輩である阿部のフォームをまねるなど、打撃への意欲は強い。高橋宏も10球前後粘る打席を見せるなど、投手ながら1人の打者として打席に立つ姿勢を持っている。【佐瀬百合子】
【広島】
すでに1本塁打を記録した実績のある日本人3投手(床田、森下、大瀬良)に加え、中継ぎのターノックは元野手で打席に立つ可能性があれば、期待値は高い。イチオシは、床田。打撃好きを公言しており、状況によっては本気で1発を狙いにいくに違いない。特に本拠地マツダスタジアムではなく、本塁打が出やすいビジター球場でのスイングには注目だ。昨季記録した待望のプロ初弾は自身が6失点した直後のもので、素直に喜べなかった。今度こそ喜びを爆発させられる1発で、歴史に名を刻みたい。【前原淳】
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2日から5日までニッカンスポーツコムで行ったアンケートには686人の投票があった。最多は広島床田の106票。今季は35打数6安打で打率1割7分1厘、2打点。通算298打数59安打で同1割9分8厘としている。24年球宴では投手として56年ぶり3人目の、代打出場からの安打を放った。惜しくも2票差で2位は中日マラー。来日2年目の助っ人左腕は右打席から快音を響かせ、今季唯一、投手として本塁打をマーク。三塁打も放つなど、6打点を挙げている。60票で3位タイには広島森下、阪神高橋がつけた。
◆投手の本塁打 最多は金田(巨人)の36本。新人年から11年連続で打つなど15シーズンで本塁打を記録。50年10月6日に17歳2カ月で打った初アーチは、投手に限らず史上最年少本塁打。投手で唯一2本のサヨナラ弾を打ち、36本の他に代打本塁打も2本ある。
シーズン最多は50年藤本(巨人)の7本で、パ・リーグでは60、68年米田(阪急)69年成田(ロッテ)の5本。1試合では49年川崎(巨人)67年堀内(巨人)の3本が最多。同じ試合で両軍投手が打ち合ったのは、80年10月11日の山本和(阪神)と西本(巨人)まで過去12度あった。
投手の満塁弾は18年藤浪(阪神)まで17人が記録しており、1人で2本打ったのは、71、72年の成田、99年に2本のガルベス(巨人)の2人。ガルベスは通算10本塁打で、これは平成以降の投手で最多。平成以降の日本人投手最多は川上(中日)の8本。
パ・リーグ投手の本塁打は平成以降では9本で、うち7本が交流戦。パ・リーグ同士では91年シュルジー(オリックス)と16年大谷(日本ハム)の2人だけ。