日本プロ野球史に名を残す「安打製造機」の異名で、東映、巨人、ロッテで外野手として活躍した張本勲さんが9日、死去した。日本プロ野球名球会が10日に発表した。86歳だった。 プロ野球歴代1位の通算3085安打を放ち、首位打者7回など数多くのタイトルを獲得した。
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日刊スポーツ客員評論家の小谷正勝氏(81)と、9日に86歳で死去した張本勲さんについてあれこれ話した。
半世紀前、大洋の抑えとして対戦歴があった。「言い方は悪いが、最悪のバッターだった。ONは好きな球だけを待っていたから、そこに投げなければいいという考えでいけた。でも張本さんは、文字通りのアベレージヒッター。広角に打てるし、マウンドで向き合ったら全部、打ち返しそうな雰囲気がした」。
-対策は?
「当時の大洋は、面白いミーティングをやってたな。まず3ボールにしろ、そこから何とかして、フルカウントにしろと言うんだ」
-どういうことでしょう
「ストライクとボールを繰り返して、フルカウントにしてはダメだ。打者有利でも投手有利でも、少し甘く入れば打たれる」
「いきなり3ボールにすれば、まず1球は様子を見てくる。次は、あらゆる手を使って、何とかして2ストライク目を取る。駆け引きを最小限にするんだな。基本的に内角はダメ。厳しく狙おうと力むとすっぽ抜けるし、ちょっと甘く入ったら長打。外角のくさいところで、丁寧に取る」
-フルカウントになったら、どうするんですか
「実は張本さんでも、1つだけ苦手なコースと球種があった。アウトハイのボールになる真っすぐだ。ストライクからボールになる、強い真っすぐがいい。フライアウト狙い、この1球で仕留める」
-見逃さないんですか
「打ってきたな。何でも打てると思っていたんだろう。思い切った配球をしないと、抑えられなかったということだ」
-結果は?
「やられた印象はないなぁ。調べてみてよ」
通算4打数無安打。フルカウントからが2度で、フライアウトが3つ。記憶は正しかった。「まず3ボールにしろ…そんな極端なミーティング、普通はあり得ない。別格だったということだ」。
神話になった強打者の貴重な証言。勝負を離れると優しく声をかけてくれたという。「あの番組でしか『喝!』なんて言ってないだろ。そういうことだよ」。【宮下敬至】