【ソフトバンク】昨年1勝→無傷開幕12連勝の前田悠伍、大ブレークの要因はストイックさ

ソフトバンク前田悠伍(2026年9月撮影)

<オリックス1-7ソフトバンク>◇17日◇京セラドーム大阪

ソフトバンク前田悠伍投手(21)が、とびきりの笑顔で優勝の輪に加わった。

大阪桐蔭からドラフト1位で入団して3年目。昨年まで1勝だった左腕が無傷の開幕12連勝。倉野投手チーフコーチがシーズン前に描いた「うまくいって5勝かな」を、いい意味で裏切る破竹の快進撃を見せた。

勝ち星を裏付ける数字がある。今季の得点圏被打率は1割1分3厘。セ・リーグトップの13勝をマークする阪神高橋の同2割3厘を大きく上回る。ピンチの場面で意識するのはシンプルだ。「1球1球、勝負球のつもり。コントロールミスはしないように」。力の入れどころを熟知し、窮地でも失投がほとんどない。マウンド上では相手のチャンステーマを楽しむ余裕もあった。21歳と思えない強心臓。主戦投手の風格が漂っていた。

覚悟は本物だった。S23年の高3秋、入団交渉で球団から背番号10、20番台、30番台、41を提示されたという。その時、迷うことなく「41」を選んだ。理由は「千賀さんだから」。熱い思いがあった。「千賀さんの番号で千賀さんのようになりたいと思っていましたし、そこを目指してやってきました」。鷹のエースとして一時代を築き、何度も優勝に貢献した日米107勝右腕がバイブルだった。

1年目はプロ初先発した4月のオリックス戦で3回6失点KO。2年目も1勝1敗だった。だが、3年目の今季は別人のように無双を続ける。大ブレークの要因は倉野投手チーフコーチが「ほどほどにしとけよ」と言うほどのストイックさだ。4回途中2失点で降板した今月4日の西武戦後もトレーニングに没頭。みずほペイペイドームを後にした時、日付は変わっていた。自分に厳しく、妥協なき積み重ねで進化を遂げた。

「今日をサボってしまうと、5年後もずっと2軍で暮らしているとか…。そういうのを考えると、今をやらないといけない」

新人王は当確で、あと1勝で最高勝率のタイトル条件もクリア。最多勝との投手2冠も射程圏だ。偉大な先輩の背中を道しるべに、若き左腕がエース道を突き進んでいる。【佐藤究】