【ソフトバンク】世代交代を進めながらの3連覇に小久保監督と栗原陵矢、師弟タッグの強い絆あり

オリックス対ソフトバンク 優勝を決めて胴上げされる小久保裕紀監督(撮影・宮崎幸一)

<オリックス1-7ソフトバンク>◇17日◇京セラドーム大阪

ソフトバンクが怒濤(どとう)の9連勝で福岡移転後初、球団60年ぶりのリーグ3連覇を達成した。

南海、ダイエー時代と合わせて22度目、1リーグ時代を含めて24度目の優勝となった。優勝マジック2で迎えたこの日は先に2位西武が敗れ、ホークスはオリックス相手に6回に一挙4点を奪って逆転勝ち。小久保裕紀監督(54)は就任1年目から無敵の3連覇を果たした。最大のライバルだった新庄日本ハムから貯金13を稼ぐなど、小久保イズムを全浸透させ、圧倒的な強さでパ・リーグを制した。

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小久保監督が京セラドーム大阪で7度舞った。圧倒的に強かった。ソフトバンクのリーグ3連覇は南海時代の1966年(昭41)以来60年ぶり。無敵の9連勝&貯金39フィニッシュを決め、かつてのホーム大阪で歓喜を迎えた。「(S89年に)福岡に移転してまだなし得ていなかった(3連覇の)目標を達成できて感無量です」。会心の笑みでファンと喜びを分かち合った。

指揮官は今春のキャンプ前に「戦力アップした日本ハムにどれだけついていけるかが勝負」と引き締めていた。入念に対策し、球際の強さと勝利への執念で上回って18勝5敗2分けのお得意様にした。乗せると怖い新庄監督を降参させ、優位にリーグ戦を展開した。

中でも守備、走塁への高い意識付けを小久保体制3年目でチームに浸透させたことが大きかった。失策は両リーグ最少の44。厳しさも強烈なスパイスだ。8月5日の日本ハム戦で8回に決勝2ランを放った野村をお立ち台に上げようとした広報に対し、怒気を含んだ大きな声で制止した。3点リードの6回に三塁守備で野村が悪送球し、同点とされていた。ミスをバットで取り返す美談はいらない。当たり前を当たり前にやり抜く姿を常に求めた。

投手力で勝った昨季とは違い、今季は打撃力で勝った。2年連続最多勝の有原が日本ハムに移籍し、大関は不振、モイネロも8月まで不在で先発が固定できずに苦しんだ。今季ワーストの借金2を抱えた5月20日のオリックス戦。小久保監督が野手陣を集めて声をかけた。「今年は野手で勝っていこう!」。その2日前、休日を利用して日帰りで故郷和歌山で墓参。先祖に必勝を誓い、シーズンを戦う心を新たにした。昨季は最下位に沈んだ同じ時期。苦しい時期は重なった。

「ターニングポイントは交流戦前の日本ハムとの3連戦。ここで風向きが変わった」。次カードの日本ハム戦で3連勝。指揮官がゲキを飛ばして以降64勝23敗、驚異の勝率7割3分6厘でゴールテープを切った。

5月中旬に1軍復帰した右の長距離砲、正木を超攻撃型1番に指名。同時期にトレードでDeNAの正捕手山本祐を獲得する補強も敢行した。交流戦中には打撃不振の山川、中村晃を降格させるなど聖域なき処遇を断行。「主力にけが人が出ることなく自慢の得点力でしっかり得点を重ねた」。チーム最年長の柳田、周東、近藤と、昨季故障に苦しんだ3人がそろってシーズンを完走し、数字を残したことも大きかった。その打線の中核、4番を任せたのは2軍監督時代からの教え子、栗原だった。

開幕の日本ハム戦、9回2死から三塁手栗原が失策した際、ベンチで悔しさをあらわにした小久保監督の姿がテレビに抜かれた。「自然と出てしまった。未熟ですね。栗原には悪いことをした。監督人生で初めて」と反省した。そして8月9日の西武戦で、今度は栗原がアレルギー症状のため今季初めて欠場。次の試合から5試合、あえて4番に戻さなかった。「ストレスからくるもの。こちらから見たら逃げているように感じた。そんな選手に4番は任せたくない」。反発力を信じ厳しい姿勢を貫いた。

4番を任せたからこそ、特に気にかける存在だった。9月1日の日本ハム戦では悪送送球が決勝点につながった。栗原は「何もないです。何でも書いてください」とだけ話してバスに乗り込んだ。小久保監督自身も現役2年目の95年、打撃不振で報道陣に同じような投げやりなコメントをした。すると翌日紙面を見た王監督から「ファンを失望させるコメントはするな!」と激怒された。そのことを思い返し、栗原と2人で話す場を設けた。「気持ちを切り替えてやろう!」。若き日の自分を重ね、改めて大きな信頼を伝えた。

栗原も感謝は尽きない。厳しくも愛情をたっぷりに接し、2冠打者に成長させてくれた。「できることを怠った時にはしっかり言ってもらえる」。世代交代を進めながらの3連覇に、師弟タッグの強い絆は欠かせなかった。【石橋隆雄】

【動画】今年も7度宙に舞った!ソフトバンク小久保裕紀監督を胴上げ

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