<パ・CSファーストステージ:西武-日本ハム>◇第3戦◇12日◇ベルーナドーム
リーグ優勝したソフトバンクとのCSファイナルステージ(みずほペイペイドーム)での進出権をかけ、2位西武と3位日本ハムの“決勝戦”が12日午後2時から行われる。
シーズン中は12勝12敗1分け、今ステージも1勝1敗。いよいよ決着が付く。西武のカギを握るのは-。西武担当記者の「目」と「耳」をつづる。
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県道沿いの民家の扉が突然開き「金子さん!?」と大声が飛ぶ。3日、西武池袋駅からベルーナドームの約32キロを6時間17分かけ、たまにXで道中をポストしながら歩いた。最後の最後、冒頭の女性の登場だ。
「記事、読んでます。あと少し、頑張って!!」
ラストスパートを後押しされ、応援の力を知った。それに自宅の窓をガーッと開けて道路の向こうの、ダイエットで歩いているだけの見知らぬ男にエールを送るなんて、なんてかっこいいんだ。西武チームスローガン「打破」の心がないと、簡単にはできない。
西武が運命のCSファースト第3戦を迎える。武内夏暉投手(25)が投げる。交流戦Vがかかる阪神戦にも先発し、栄冠を引き寄せた。西口文也監督(54)も「交流戦優勝の時も武内だったので、しっかり投げてくれると思います」と全幅の信頼を寄せる。
西口監督はシーズン本拠地最終戦スピーチでも「ファンの皆さんの『今年優勝を逃さないでほしい』という気持ちが最後の最後、選手に力をくれたと思います」と阪神戦に触れた。座席販売の関係上、甲子園の外野応援席に入れた西武ファンは380人のみ。それでも大声援を送り、西武ベンチはもちろん、阪神電鉄の隣駅まで得点時の歓喜が響くほどだった。
10日夕刻、帰り際。西口監督と話しているとファンの話題になった。いつものひょうひょうとした姿は、ファンの話になると声色が引き締まる。「いや、これだけの人が来てくれて、本当にうれしいですよ、これは」としみじみ話す。ファンの声援は本拠地開催の最大のアドバンテージに-。指揮官が何度か言ったこの思いは決して、リップサービスの類ではない。
選手や首脳陣は気負うべきでない。平常心&闘争心で戦い抜けばいい。ただ、ファンはまだまだ“打破”できる。
コロナ禍の無観客試合から携行する音量測定アプリがある。11日、カナリオのサヨナラ本塁打の瞬間は「車のクラクションを真横で聞いた」にほぼ相当する108デシベル超がベルーナドームに響きわたった。ただ、チャンス以外での西武攻撃中の平均は90~93デシベルといったところ。
右翼席に詰めかけている日本ハム応援団の声量と大きな差がない。
着席の内野スタンドから声援を送りづらい実情はある。もちろん時には抑揚、わびさびも必要だ。8月30日、応援団があえて作りだした静寂の直後、栗山の現役最後のヒットが出た。実に美しい空間だった。
ただ、西武はもう本当に最終局面にいる。負ければ26年シーズンは終わり。日本シリーズもできない。4カ月間、ベルーナドームでの野球観戦はかなわない。そもそも人生、いつ何があるか分からない。
数字が実証する。普段は90デシベル、最大で108デシベル。西武ファンはまだまだ出せる。選手も首脳陣も「応援が最大のアドバンテージ」と言っている。まだまだ行ける。大声は、己のPRIDEを“打破”していくものだ。【西武担当・金子真仁】