【巨人】謙遜、共感、激励…野球教室で見た松井秀喜監督の指導術「いい質問だよね」

子どもたちと一緒にランニングする巨人松井秀喜監督(撮影・たえ見朱実)

巨人松井秀喜監督(52)の答えは、どれも優しかった。

1日、代表理事を務める「松井55ベースボールファウンデーション」による野球教室に参加し、全国から集まった40人の小学生と一緒に汗を流した。フリー打撃では推定飛距離110メートル弾を6スイング目で放ち、ガッツポーズ。52歳の豪快なアーチで驚かせたが、その後の質問コーナーに人柄がにじんだ。

時間の関係でマイクを握って聞けたのは6人だったが、謙遜、共感、激励が常に答えに含まれていた。

最初の質問。「打撃するときゴロばかり。どうしたら打球を上げられますか?」。

いきなり、「松井さんはね」と切り出した。「松井さんはね、『ゴロキング』って言われていたの。ゴロばかり打っていたから」。ありがたくないニックネームを自ら掘り返す。その上で、「でもね」と続ける。

「たとえばトスあるでしょ? バットをボールの下にポンって打つ練習をいっぱいしてごらん。普通に打ったらだんだん、だんだんゴロじゃなくなるから。そういう練習したらすごくいいと思います。私もそういう練習しました。だから、まず簡単なトス、打ちやすいでしょトス? その時にボールの下にバットがピって入るように練習してください」

謙遜、のちに体験談に基づいた具体的な練習方法をぱっと授けた。このスタイルが次の質問でも続く。

「速い球が打てません。どうやったら打てるようになりますか」

「速い球ね。速い球。やっぱり打ちにくいよね。ぴゅってきちゃうしね。でも、速い球を打つのは慣れたら打てるんだ。だから普段から目だけ、なんか速いボールがひゅっ、ひゅってイメージだけしてれば今は大丈夫ですよ。慣れたら速いボール打てるし、速いボールね、力入れて振らなくてもちゃんと当たればボンって飛んでくから。慣れてきたら絶対打てるようになる。でも、最後までちゃんとボールを見るっていうことをちゃんと意識してください。絶対打てるようになるから」

最後は力強く背中を押す。

そんな風に、必ず具体的に答えていった。最後の6人目も。「打席に入る前に緊張したときどうすればいいですか」。すぐに返した。「いい質問だよね」。すっとほほえむ。

「緊張しちゃうよね。緊張したら緊張したままいくしかないんだよね。でも、緊張した時こそ、いつも自分のルーティンってない? 打席にいくときのルーティンとか、そういうのない? そっか。例えば、じゃあいつも次ネクストバッターズサークルで待ってるでしょ? じゃあ次、自分がっていうときに、1回素振りして入るとか、そういうルーティンを作って、そこに集中すればいいと思う。で、例えば、打席に入って、スタンスして、じゃあ見るっていう、その一連のルーティンを自分で決めて、緊張してる時もそのルーティンに集中したら、集中してたら、緊張してることを少しずつ忘れていく。打席に入ったら投手に集中すればいい。それをちょっと1回やってみてください。でも緊張していいんですよ。緊張するんですよ、みんな。でも、その中で自分のいつもやってるルーティンを持っていけば、だんだん緊張に慣れるはずです。試してみてください」

そうして質問コーナーは終わった。6人それぞれに、一貫して優しく、そして具体的な提案を続けた。それは6人以外にも響いていただろう。

指導者としての「松井秀喜」。初の監督業が始まったばかりだが、子どもたちへの応答に、どんな指導をしていくのかのヒントを感じた。もちろん、小学生とプロでは技術レベルは雲泥の差。それでも、歩んできた道を下地にした引き出しは、必ず選手たちを後押しするだろう。自身は本格的な指導はシーズン開始前の春季キャンプからと見据えるが、どう「回答」していくのか。楽しみが増す、野球教室だった。