巨人田中将大投手(38)がはたと気づいた。「そうか、11年にいたって考えると…。本当だ、いないかもしれないですね」。8日、宮城・南三陸町にいた。思い返したのは東日本大震災が発生した2011年、当時の楽天のメンバーの顔だった。「辛島も引退したし…」。今季限りで楽天辛島が引退を決め、東北を本拠地とするチームの選手として苦難の日々を戦い抜いた仲間は、みなユニホームを脱ぐ。「そうか、僕だけか」。そう小さくつぶやいた。
震災から15年がたった。この日は国土交通省との合同防災避難訓練で、子供らと高所へ避難した。昨年の気仙沼に続き、2年連続の参加。25年から巨人に移籍後も「この宮城、東北にお世話になったことに変わりはない」と足を運ぶ。
コツコツと。「震災を経験してない子たちが増えてきましたけど、ほんとに伝えていかないと、常に備えて置かないと。何か促すことが微力ながらできればいいな」と使命感を帯びる。そして「現役選手と、現役を退いてからだと、多分見え方違うと思うんですよね」と続ける。
発信力に大きな違いが出るだろう。そのために長くプロ人生を…、とは軽々には言えない。ただ、いまもグラウンドで戦い続ける「最後の選手」として、伝えられること、できることはある。【阿部健吾】