<ロッテ6-0楽天>◇10日◇千葉マリン

 2年目のロッテ唐川侑己投手(19)が楽天8回戦でプロ初完封勝利を挙げた。三塁側スタンドで母澄枝さん(51)が見守る中、8安打を浴びながらも要所を締め自己最多の11奪三振。球団では90年前田幸長以来の10代完封をマークした。唐川は今季3勝目で、楽天戦は昨年から4戦4勝とした。

 拍子抜けするほど淡々とマウンドを降りた。自己最多の133球を投げ、自己最多の11奪三振でプロ初完封をやってのけても、唐川の表情は崩れなかった。バレンタイン監督から笑顔で迎えられ、やっと照れ笑いを浮かべた。「天気もいいし、お客さんもたくさん入っているし、どんな状況でも楽しんでやろうというつもりで投げた」と、マイペースを貫いた。

 19歳の右腕が完ぺきに試合を支配した。楽天野村監督が「打てそうなピッチャー」と悔しがったが、それこそが真骨頂。直球は最速142キロと速くはない。8安打を許し、5度得点圏に走者を進めた。だが、状況と場面によって里崎捕手が要求するボール球を効果的に使った。11三振中7個はボール球を振らせた。

 スタンドで母澄枝さんが、成長した姿を見守った。この日の朝、唐川から黄色い花束が郵送で届いた。「お花だけで十分だったけど、ウイニングボールまでもらえるとは。最高の母の日になりました」と感激。「昨年はランナーが出ると打たれてしまったので、このままプロでやっていけるか心配でした。でも今年はピンチでも抑えられる力強さを感じる」と、母は目を細めた。

 1年目の昨年はスタミナ不足の課題に直面した。3連勝した後の交流戦から調子を落とし、2軍落ちを経験するなど結局、5勝4敗に終わった。今年はオフにパーソナルトレーナーをつけて体力強化し、調整法も変えた。ロッテの先発投手は登板2日前に約70球を投げることが多いが、唐川は3日前に約45球だけ投げる。「たくさん投げると疲れるので、無駄な球を投げないようにしている」と、自己流調整をしている。

 これで楽天戦は昨年から無傷の4連勝。チームも5位西武に0・5差と、最下位脱出も見えてきた。「今日は楽しんで投げられましたけど、これからですね」。次回登板は交流戦初戦の19日横浜戦が濃厚。進化する2年目右腕の視線はすでに鬼門突破に向いていた。【鳥谷越直子】

 [2009年5月11日8時34分

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