<日本シリーズ:ロッテ10-4中日>◇第5戦◇4日◇千葉マリン

 史上最強ルーキーだ。ロッテの清田育宏外野手(24)が第5戦で2打点を挙げ、日本シリーズ新人最多タイの6打点となった。1回には犠牲バントを決められず三振したが、5回にしっかり借りを返した。第1戦で1打点、第3戦では3打点で、清田が打点を挙げれば勝つ方程式ができている。勝利の使者が、35年ぶりとなる史上4人目の新人MVPへ大きく前進した。

 MVPへ一直線だ。清田があっさりと日本シリーズの新人打点記録に肩を並べた。5回だ。1死から3連打と犠飛で2死二、三塁。カウント2-2から中田賢のスライダーをとらえ、中前へクリーンヒット。「変化球を待っていました。狙い通り。みんな打ってたので自分も続くことができてうれしいです」と、してやったりだった。2者生還で2打点。ここまで5戦で計6打点。82年に上川三塁コーチが打ち立てたシリーズ記録に、目の前で並んでみせた。

 三塁コーチスボックスで、上川コーチは「ここでヒット打ったら並ぶなぁ」と思いながら、その瞬間を見守っていた。試合後、報道陣に囲まれる清田の真後ろから「清田に並ばれたか~。並んでも抜くのが難しいんだぞ」とゲキを入れる一幕もあった。無論、そんな言葉など不要なことは分かっている。「名古屋で抜いて欲しいね。よく練習するし、もっともっとよくなると思う」と期待を寄せた。

 上川コーチの思っていた通り、記録に肩を並べたルーキーは「打点はあまり気にしていないです。練習してきます」と言うと室内ブルペンへ向かった。試合後で疲れているはずだが、岡田、田中雅と共に金森打撃コーチの見守る中で夜間練習。記録に満足することなく、練習量を減らすことはなかった。

 ノリノリの男はグラウンド外でも大忙しだ。第1戦では長嶋、原、仁志(いずれも巨人)に並ぶ新人本塁打。第3戦では86年の清原(西武)以来の新人V打で一躍スター街道に乗った。試合前にはテレビ局のインタビューなど、注目度は急上昇。取材が殺到する中、嫌な顔ひとつせず笑顔で応じた。「大変?

 そんなことないですよ。こんなに取り上げてくれてありがたいです」と、感謝の気持ちを忘れていなかった。

 シリーズの通算打率も3割6分8厘で好調を維持しする。今日5日に名古屋に乗り込む。「1年目から出してもらって最高の結果。1打点が勝ちにつながる打点になればいいです」と、あと1打点に迫った新人新記録に意欲もみせた。清田が打点を挙げれば勝つ。下克上ロッテのラッキーボーイが、王手の勢いで敵地でも大暴れする。【斎藤庸裕】

 [2010年11月5日8時49分

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