なんじゃ、こりゃ~!

 投手キャプテンを務める阪神藤川球児投手(31)が9日、若手投手に苦言を呈した。自主トレのため兵庫・西宮市の鳴尾浜を訪問。久々に足を運んだファームの投手ロッカーが汚いことに「残念。ろくな選手が育たない」とピシャリ。V奪回を目指すチームのため、宣言通りの嫌われ役を実践した。

 寒風の中で約50分のランニングとブルペンでのストレッチを終え、ブルペン横にある投手ロッカー室を“視察”した藤川の言葉が、どんどん熱を帯びた。久々に足を踏み入れたロッカー室の乱れた状況に黙っていられなかった。

 藤川

 ブルペンの小屋が汚い。残念だった。これじゃ1軍に上がれない。1軍の選手と差が出てしまう。年も変わっているし、なんで処理してないのか。1軍でいいプレーをしようと思ってもできない。自分が若い時は、スリッパをそろえたり、靴をそろえたりしていた。衣類が散らかっていても、1軍選手はスパイクが汚れている、グラブが汚れているということは100%ない。見られている感覚が足りない。いつ見られてもいいように準備しておくのが大事。中途半端な選手とか育成(選手)の道具があって、何やっているんだろうなという感じがする。

 泥のついたスパイクなどがロッカー室に放置されたままで新年を迎えたことが、残念で仕方なかった。自身もかつてのロッカー室で汗をぬぐい、守護神に上りつめる礎を築いた。野球道具を大切にして、整理整頓するのは基本。小さなことからコツコツと…。根本的なところを変えていかないと、1軍昇格などできない-。

 藤川の“カ~ツッ”は、若手投手を見守る球団スタッフへも及んだ。昨季も継投など、あえて首脳陣にもの申す発言をメディアを通して発信してきた。投手キャプテンとして迎える今季は、その姿勢をより強く出していく覚悟だ。

 藤川

 球団スタッフも何で見ないのかなと思う。スタッフとかピッチングコーチが見ればすぐにわかること。率直に残念。そういうところから変わらないと。それを見て育つから、若い選手はろくな選手が育たない。意識というか低レベルな話だけど、そうすることでプレーがよくなるというよりは、見られているという感覚。いつ見られてもいい状態でやらないと。

 白仁田、蕭一傑、二神のドラ1トリオを筆頭に、若手投手が育っていない現状がある。厳しい言葉を投げ続けた。チームを変えるために、あえて買って出た嫌われ役。すべては7年ぶりのV奪回のため。チーム一丸となって、チャンピオンフラッグを取りに行く。そのための戦力になるという自覚を持て-。投手キャプテンのエールが込められているに違いない。小じゅうとのようなお小言と言うなかれ。若虎よ、目覚めろ!

 新年の鳴尾浜に球児の熱い思いがほとばしった。【岡本亜貴子】

 ◆藤川の「嫌われ者」発言

 昨年11月末に連載した本紙のインタビューで優勝奪回への決意を明かしていた。「そのために何をすべきか。それを考えた。結論は『嫌われ者』になっても構わないから、僕は言いたいことを言う。足りないことをはっきりと言う。野手なら鳥谷がその立場。僕と鳥谷と2人で、その立場を担っていく」。この日の苦言はさっそく実践した形になった。