<ヤクルト3-2巨人>◇22日◇神宮

 ついにデッドラインを越えてしまった。最下位に沈む巨人は、連日の改造打線でヤクルト6回戦(神宮)に臨むも、1点及ばず今季2度目の5連敗となった。2点を追う4回に4番阿部慎之助捕手(33)の3号2ランで同点としたが、5回に福田聡志投手(28)がミレッジに決勝適時二塁打を浴び、最下位脱出はならず。借金は、球団の歴史で優勝した例のない「7」まで増えた。無敵ジャイアンツは、一体いつになったら目覚めるのだろうか。

 巨人の歴史上のデッドラインを越えた。まさかの3タテを食らって5連敗。借金は7に膨らんだ。無敵開幕ダッシュのはずが、4月でV率0%。原辰徳監督(53)は「3連敗という結果ではあるけれども、幸いにして僅差というのがね」と、歩きながら話した。「幸いに」のフレーズに、プラス思考を保とうとする、監督の思いがにじんだ。「野手は課題が分かっている。何とかしないといけない」と、打線のV字回復を切望した。

 6回1死満塁、長野の三振がすべてだった。高橋由の四球で無死一塁。藤村の犠打が失策を誘い、無死二、三塁。坂本の中飛に阿部の四球。1死満塁でロマンを降板させた。長野の相手は、2番手増渕。ぬかるむマウンドを気にしながらカウント2ボール。以後、3球目からシンカー3連発。ヤクルト小川監督も「全部ボールじゃない?」と認めるボール球を、3度振って三振した。続く村田も倒れ、無死二、三塁の大チャンスが無得点に終わった。長野は「ぼくのせいです」と、責任を背負った。

 「打てると思って、打ちにいった結果。打ちにいけば空振りもある。消極的ではないので、次につながると信じたい」。焦りも、気負いもある。まずは三振を避けたい場面だった。岡崎ヘッドコーチは、三振をとがめることもなかった。

 登板直後の増渕は、雨で制球がままならない。しかも満塁の重圧。結果論を承知で言えば、1球でも待って3ボールになっていれば、結果は違っていたはず。押し出しで同点の可能性も高まった。長野の前打者・阿部の打席では、ベンチから「落ち着け」という大声があった。その結果、四球。打ち気満々の長野を、食い止める何かがあってもよかったはず。基本的に個々の能力に任せる、巨人スタイルの弊害が出た格好。任せているから禁止できない-。その集積が、現状の最下位なのではないか。

 借金は7。岡崎ヘッドコーチは「まだ20試合。借金よりも、自分たちの野球を積み重ねたい」と言った。【金子航】

 ▼巨人は早くも2度目の5連敗を喫し、借金が今季最大の7。巨人の借金7以上は昨年(最大10)に次いで13度目だが、開幕から20試合以下で借金7は47年の15試合目、75年の18試合目、84年16試合目に次いで4度目になる。過去に借金7以上から優勝したのは、63年西鉄(借金7)88年中日(借金7)07年日本ハム(借金8)の3チームだけ。巨人は13ゲーム差を逆転した08年に最大借金6から優勝したが、借金7以上からの逆転Vはない。ちなみに、長嶋監督で11・5ゲーム差をひっくり返した96年は最大借金が5だった。