<明治神宮大会:桐蔭横浜大1-0法大>◇14日◇大学の部決勝◇神宮

 桐蔭横浜大(関東5連盟)が法大(東京6大学)を下し、初優勝を果たした。全4試合先発の小野和博投手(3年=磯原)が準決勝に続いて2戦連続完封。創部当時の目標だった「打倒6大学」をわずか7年で達成し、大学日本一に輝いた。

 両拳を突き上げた小野の周りに、次々と歓喜の輪が広がった。法大・建部の二飛で2戦連続完封。初の全国制覇に「信じられない」と興奮がさめやらない。教え子の手で宙を舞った斉藤博久監督(46)も「出来過ぎです。試合のたびに強くなって、本当びっくり」と目を丸くして喜んだ。

 創部7年目で頂点に上り詰めた。06年、故・鵜川昇理事長の「うちの大学が6大に勝つところが見たい」のひと言で創部。系列校の桐蔭学園は甲子園でも優勝した名門だが、大学は無名に近い。桐蔭学園OBで、水戸短大付(茨城)の指導経験もある斉藤監督が招聘(しょうへい)されたが、初めは苦労の連続だった。

 練習は高校優先で、グラウンドを使用できるのは午前中のみ。高校生の春休み期間などは、キャンプと練習試合で遠征し続けるしかない。無名ゆえ有望選手も集まらず、水戸時代のツテを頼って小野を勧誘した斉藤監督の決めぜりふは「おれを助けてくれ」だった。

 だが反骨精神を持った雑草集団は、年を重ねるごとに力をつけた。今季は関東地区選手権で、オリックス3位の伏見と巨人5位の坂口擁する東海大を、今大会はオリックス1位の松葉擁する大体大、ソフトバンク1位東浜のいる亜大を倒し、最後はDeNA2位の三嶋と、プロレベルの選手たちを次々なぎ倒した。

 野球部の生みの親である鵜川理事長は、リーグ戦初優勝も見届けず07年に亡くなった。「今朝、ちょうど理事長の言葉を思い出して。6大学(法大)に勝てたらいいなと思ったんです」と斉藤監督。追われる立場になっても立ち向かう姿勢は忘れず、「来年も優勝したい」(小野)という次なる夢を追う。【鎌田良美】