<全日本大学野球選手権:東海大7-2創価大>◇14日◇準決勝◇神宮

 東海大(首都)が、逆転で創価大(東京新大学)を破り、巨人菅野を擁した10年以来の決勝進出を決めた。2点を追う5回にルーキー下石涼太内野手(1年=広陵)、田中俊太内野手(3年=東海大相模)の適時打などで5点を奪って逆転した。今日15日の決勝は01年以来の優勝を目指す東海大と初Vを目指す神奈川大との「神奈川対決」となった。

 昨春のセンバツ初戦で、済美(愛媛)の怪腕、安楽智大投手(3年)と投げ合った右腕がいた。広陵の「1番投手」として、延長13回219球を投げ抜きサヨナラ負けした下石が、1年3カ月後、「9番遊撃」で神宮に現れた。

 2点を追う5回1死一、三塁、140キロの直球を右前に運んだ。ルーキーの追撃打に、チームが沸く。「狙っていた真っすぐでした」。投手への未練は「全然ありません」と、野手に専念して、リーグ戦から開幕スタメンをつかんだ。

 続いたのは1番田中だ。広島のルーキー田中を兄に持ち、父正行さんは東海大相模野球部で巨人原監督の2年下というサラブレッド。1死二、三塁から右前に逆転の2点適時打を放った。5人きょうだいの4番目で、「兄があれだけやっているので、僕も負けないようにしないと」と言った。

 14戦全勝で制したリーグ戦から、これで公式戦17連勝。“タレント軍団”は、この回さらに2点を奪い、試合をひっくり返した。横井人輝監督(52)は「リーグ戦中も、ここで勝つことだけを考えてやってきた」と、日本一だけに照準を合わせて戦ってきた。

 勝負を分けた5回は1死一塁から二盗、三盗を決めてつくったチャンス。6回から登板した創価大の154キロ右腕、田中からも2盗塁を決め、計4盗塁をすべて得点につなげた。

 元監督の原貢氏(享年79)が開幕直前に死去した大会で、巨人菅野を擁した10年以来の決勝進出。打って、守って、走る。勝ち続ける理由が詰まった試合で、日本一への挑戦権をつかんだ。【前田祐輔】