目指すは“破天荒投手”だ。広島の新入団選手発表会見が13日、広島市内のホテルで行われ、ドラフト1位の明大・野村祐輔投手(22=広陵)ら8選手が、招待されたファン100人の前で紹介された。野村は「プロ野球を代表する選手になりたい」と力強く宣言。「球種、制球、守備。どれをとってもトップレベルの投手になり、将来は沢村賞を狙いたい」と大きな野望を掲げ、プロの世界へ飛び込む。

 100人のファンと、多数の報道陣、選手の家族を前に野村が力強く言い切った。

 「コントロールに自信があります。キレで勝負する投手と思っている。息の長い記憶に残る投手になって、いずれはプロ野球を代表する選手になりたい」

 大きな拍手を浴び、自身の名前入りのユニホームを見てプロ野球選手になった実感をかみしめた。プロで目指す選手像として「今までにない投手」をあげた。

 「タイプをつくらないというか、速球派とか技巧派とかではなく、どれをとってもトップレベルの投手を目指したい」

 球種、制球力、そしてフィールディング。そのすべてにおいてハイレベルの投手。完璧なるオールラウンダーが理想だ。来季の球団キャッチフレーズは今までにないことを成し遂げる、という意味の「破天荒」。野村はそんな破天荒な投手を目指す。

 「長所は伸ばし、短所も長所に変える」をテーマに練習に取り組んできた。体作りの成果が出て、球速は大学4年間で7~8キロアップ。だが「まだ完成度は4割くらい」と厳しく自己分析する。現在は右が強くて左が弱い、などの偏りがないよう、体のバランスに気をつけながらトレーニングを続けている。苑田スカウト部長も「完成度の高い投手は伸びしろが少ないと思われがちだが、野村はまだまだ伸びる余地がある」と太鼓判を押す。

 理想の投手に近づければ、視野に入るものがある。投手最高の栄誉「沢村賞」だ。完投力や球威など投手に要求されるさまざまな能力を持ち合わせないととれない賞だ。「将来的にはとりたい賞です。(投手の)全部門トップをとって沢村賞をとれたら」と右腕は目を輝かせる。

 まずは来季、先発ローテ入りし新人王を狙う。そして、この日拍手を送ってくれたファンに、21年ぶりの優勝をプレゼントすることで恩返しする。【高垣誠】