日本ハムが、メジャー挑戦を表明している花巻東(岩手)の最速160キロ右腕、大谷翔平投手(3年)を1位で強行指名することを23日、決めた。25日のドラフト会議へ向け、千葉・鎌ケ谷の球団事務所に球団首脳が集結して対応を協議し、最終確認。山田正雄ゼネラルマネジャー(GM=68)が「大谷君を指名するという方針になりました」と表明した。交渉権を獲得しても翻意は難航と想定しているが、踏み切ることになった。昨年は1位指名した東海大・菅野智之投手(23)に拒否されたが、今年も注目を集めそうだ。

 日本ハムが、またドラフトに波乱を呼ぶことになった。2軍施設のある鎌ケ谷の球団事務所で、島田球団代表、山田GMらが約1時間協議。同GMは毅然(きぜん)とした表情で「球団として例年、一番力がある選手を指名してきた。今年は大谷君でいこうという方針になりました。リスクは承知の上です」と表明した。

 積極果敢な戦略でドラフトを沸かせてきた日本ハムのポリシーを貫くことになった。昨年は巨人入りを熱望していたとされる菅野をサプライズ指名して入団拒否。05年の高校生ドラフト1巡目ではソフトバンクが意中だった陽岱鋼を指名し、入団にこぎつけた。大谷も1年時からマークを続け、今年NO・1の逸材と高評価していた。

 形勢不利の情報をキャッチしているが、踏み切る。9月26日に大渕スカウトディレクターと今成スカウトが、花巻東を訪問。その際に球団の育成方針などを説明したが、その時点で強いメジャー志向があることを「もちろん、感じていた」(同ディレクター)。

 現段階では、大谷の意思を尊重して指名を自重する方針を示唆している球団もあるが、リスクも十分に理解しての決断をした。仮に交渉権を獲得できた場合にも、山田GMは「もちろん自信がありません」というのが現時点での判断だ。

 今日24日に球団幹部と栗山監督を交えて最終協議をし、正式に表明することになる。山田GMは「獲得できる選手から選ぶのでなく、NO・1の選手を指名する。それがドラフトであり、ファイターズのスカウティング」と強調した。否定的な世論が沸騰するのも承知の上で、正々堂々と大勝負をかける。