日本ハム大谷いない、米初日朝いきなり…WBC不安

キャンプ地のアリゾナ州ピオリアに到着し、宿舎に入る日本ハム大谷(撮影・菅敏)

 【ピオリア(米アリゾナ州)29日(日本時間30日)=木下大輔】下半身に張りを抱える日本ハム大谷翔平投手(22)が、2月1日からの米アリゾナキャンプで別メニュー始動する可能性が出てきた。前日28日、成田空港からチャーター機で現地入り。一夜明けた合同自主トレ開始に姿を見せなかった。キャンプインまでの自主練習期間でブルペン投球の予定がないことも判明。第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)へ、まずはコンディションを万全に戻すことを優先する。

 世界一奪還のキーマンに無理はさせない。大谷は、渡米前の自主トレで左太もも裏など両足の張りを抱えた状態で、現地入り。一夜明けた合同自主トレ初日の練習開始に現れず、アップに参加しなかった。朝食会場もキャンプ施設内にあるが現れず、宿舎で静養したと見られる。

 米アリゾナキャンプを別メニュー調整でスタートを切る可能性が浮上した。福島チーフトレーナーは大谷の状態については明言を避けたが、別メニュー始動について「可能性はある。無理をさせないように様子を見ながら」と説明した。

 栗山監督も慎重を期す考えを明かした。「通り越して、やらないように。きちんと、やれるところまで、やっていっていかないと壊れちゃう」。24日に左太もも裏を気にする様子を見せたように、大事には至らずも万全でないことは指揮官も承知。WBCでは、ペナントレース開幕3月31日より20日以上早い同7日の開幕キューバ戦に照準を合わせている。天候もよく、充実した施設の中での練習となれば、大谷が不安を抱えていながらも飛ばしてしまうことを危惧。別メニューとして「ブレーキ」をかけることで、最悪の事態を避けるプランが頭にある。

 現地での実戦登板も回避することが現実味を帯びてきた。17日のキャンプメンバー発表時に、栗山監督は「アメリカで無理することはない。体の状態を見て」と、予定される実戦2試合の欠場の可能性も示唆していた。キャンプインまでの3日間は自主練習期間で投手陣は軒並み、ブルペン投球を予定している中で大谷は予定がないという。22日を最後にブルペンに入っておらず、吉井投手コーチは「大谷はまだブルペンにも入れてへんし、こっちの実戦で投げられへんのちゃう?」と、厳しい見立てを示した。

 28日の大谷は、1年ぶりに球団が業務提携を結ぶパドレスのキャンプ施設を訪れたが「(感想は)特に、ないです」と淡々とした様子。ミーティング後は、他の選手と同様に体を休めた。日本の命運を託される二刀流右腕は、異国の地でも石橋をたたいて渡るように調整を進めていく。

<栗山監督の大谷関連発言>

 ▼16年12月9日 17年の実戦登板が16年(2月10日)より早まる可能性を示唆。「WBCもあるから早くしないといけないとは思っている。(アリゾナで)投げる可能性はある」。

 ▼同18日 二刀流の運用見直しを示唆。「今までと違う形を考えていかないと。野球が生まれた国(米国)で(投打)2つをやることを認められる選手になってほしい」。

 ▼17年1月10日 オーバーペース禁止令。「調整(ペース)を落とさせる。急ぐ必要はないので、スケジュールを見てると」。

 ▼同17日 キャンプ1、2軍メンバー発表。大谷について「アメリカで無理することはない」と、アリゾナキャンプ中の実戦では登板させない可能性を示唆。「翔平の中にあるプランを信じている」と自主性を尊重する意向を示した。

 ▼同24日 2月18日紅白戦(沖縄・国頭)でのWBC組そろい踏み構想を明かす。「あの辺で全員、行きたいよね」。