巨人坂本勇、男性救助に参加 大谷欠場危機も救うぞ

練習を終え、笑顔で球場を後にする巨人坂本勇(撮影・横山健太)

 お助け侍、見参。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表の巨人坂本勇人内野手(28)が6日、フリー打撃で昨季10勝の田口と対戦し、18球で安打性の打球は8本。安打はいずれも中堅から右方向で外角球への対応力の高さを見せた。練習中には発作で倒れた中年男性の救助活動を好アシストした。WBCでは「3番遊撃」が有力。日本ハム大谷翔平投手(22)欠場という侍ジャパンのピンチも攻守で救う。

 坂本勇がサンマリンスタジアム三塁側外のサブグラウンドで守備練習を終え、球場内に入った時だった。通路で中年男性があおむけに倒れ球団関係者らに救助されていた。意識がないのか、呼びかけの声にも目を閉じたまま、体はピクリともしない。尋常でない雰囲気に坂本勇の足が止まった。関係者の「毛布!」の叫びに「ロッカーにタオルがあります!」と応じた。

 通路をダッシュして一塁側ロッカー室に戻ると、束のバスタオルを関係者に手渡した。再び現場に戻ろうとしたが混乱を避けるべく通路途中で制されて断念。その際、目を開いて体も反応したと聞き「良かった」と胸をなで下ろした。その後、中年男性は救急車で市内の病院に搬送。持病の発作が原因で命に別条はなかった。男性は巨人ファンで、搬送の際に球場スタッフから坂本勇にも助けられたと聞いて「え!?」と驚いたという。坂本勇は「人助けと言ってもらえるようなことはしていないです」と謙遜したが、練習中だろうが救助活動を手伝う姿は頼れる主将そのものだった。

 グラウンドでも頼もしさを存分に見せつけた。フリー打撃で左腕の田口と対戦。投手との対戦は今年初だったが、18球中15スイングで安打性は8本。すべて中堅から右方向だった。「何カ月も投手を見ていないから引っ張れないでしょ」と苦笑いしつつ「コンパクトにミートだけを心掛けた結果、逆方向にきれいに打てた。最初にしては良かった」と納得の表情を見せた。

 右打ちの精度はWBCでの活躍の指標となる。ストライクゾーンが外角に広いといわれる国際大会では、逆方向への打撃はポイントの1つ。過去3度のWBCでも青木ら逆方向にも打てる打者が結果を残した。この日の打撃なら昨季のセ・リーグに続いてWBCでの“首位打者”も十分狙える。それでも「調整は順調。でも国際大会は投手がセットポジションで止まらなかったりするので対策をしないと」と抜かりはない。窮地を救うのはお手のもの。坂本勇が“大谷ショック”を振り払う。【浜本卓也】