藤浪いきなり154キロ、2回4Kで第2先発合格

紅白戦の4回裏白組2死三塁、藤浪は俊介を空振り三振に仕留め振り返る(撮影・宮崎幸一)

 世界一へ力強く発進した。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)侍ジャパンの阪神藤浪晋太郎投手(22)が8日、沖縄・宜野座球場でチーム初実戦となる紅白戦に登板し、2回4奪三振で無失点と上々の滑り出しを披露した。侍一番乗りで17年初実戦に臨み、いきなり球速154キロを計測。本番を見据えた「超速仕上げ」は順調そのものだ。

 球春到来。久々の出番だ。各スピードガンは競い合うように藤浪の球速を表示した。3回裏1死。8番岡崎への5球目は外角いっぱいへの直球だ。空振り三振の成立と同時に、バックネット裏最前列に設置されたチームの機械は149キロと計測。テレビ画面のCS放送では「154キロ」が躍った。2球前の直球は、チーム用のスピードガン、CS放送とも「152キロ」。驚きの数字が次々とたたき出された。

 藤浪 全体的にはしっかり投げられた。一番良かったのはストレート。狙ってファウル、空振りを取れた。打者がボールに慣れていない時期だとしても良かった。

 WBC侍戦士28人の中で最も早い実戦は本番を強く意識したものだった。「第2先発」を任される可能性が高く、首脳陣の計らいで3回から2番手登板した。WBC球を使用。変化球はカットボールにスライダー、カーブ、フォークの感触を確かめた。2回を4奪三振2被安打ゼロ封の結果以上に収穫が多かった。

 藤浪 全体的に(フォームの)バランスが良かった。しっかり立って、しっかり投げられていた。

 先頭打者の7番横田は初球150キロ(CS放送の計測)から直球のみで3球三振。残る3奪三振もすべて直球による空振り。球の伸びは上々だ。昨年12月に1カ月間、レンジャーズ・ダルビッシュらとの合同自主トレを敢行。ウエートトレや“食トレ”で体重を6キロ増やした。自身最重量となる97キロ超の肉体に手応えがある。

 この日は岡崎への直球が顔面付近に抜け、ストレートの四球もあった。4回裏は強い雨に打たれた。それでも指先の感触を大事にして、WBC用のロジンは使わなかった。滑るボール対策は「いろいろある。囲み(取材)では言えませんが」とニヤリ。「小さいころから憧れていた特別な大会」というWBCへ。「これから球速、球質は上がってくる」。妥協なき準備プランに狂いはない。【佐井陽介】

 ◆侍ジャパンの投手事情 先発投手は巨人菅野、楽天則本、ロッテ石川、ソフトバンク武田の4枚。球数制限があるため重要な役割を担う第2先発は、阪神藤浪、ソフトバンク千賀に加え、ショート、ロングイニングにともに対応できる西武牧田が有力だ。

<過去の主な第2先発>

 ▼杉内俊哉 過去3大会すべて救援で登板。第2先発からワンポイントまで幅広い起用に応えた。特に09年は登板した5試合すべて無失点に抑え、世界一連覇に貢献。

 ▼清水直行 06年に第2先発として2試合に登板し初Vに貢献。1次R初戦の中国戦では3回無失点でセーブを記録。

 ▼渡辺俊介 06年は2次Rまで先発を務めるも、決勝では第2先発として3回2失点。09年も2試合無失点と連覇を支えた。

 ▼涌井秀章 09年は3試合1失点と好投。13年は短いイニングでの起用が多かったが、4試合無失点。

 ▼摂津正 13年は1次R初戦のブラジル戦で3回1失点にまとめて勝利投手。登板3試合で6回2失点だった。

 ▼内海哲也 13年に2試合に登板。2次Rのオランダ戦では12点リードの場面で登板も、2死しか奪えず4失点を喫した。