里崎氏、侍石川のシンカーは「海外相手に十分通用」

ブルペン投球する石川。右は権藤投手コーチ(撮影・江口和貴)

 第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一奪還を目指す侍ジャパンが26日、宮崎県総合運動公園での4日間の強化合宿を終えた。25日のソフトバンクとの練習試合で4安打無得点に終わった打線には不安が残るが、投手陣は順調な仕上がりを見せている。第1回WBCで主戦捕手を務めた里崎智也氏(40)がブルペンを視察。3月7日キューバとの開幕戦で先発が濃厚なロッテ石川歩投手(28)の状態に太鼓判を押した。

 石川と同じロッテのユニホームを着てプレーしたのは1年だけ。確かキャンプやオープン戦でしか球を受けたことはないが、当時とは比べものにならないくらい、たくましく成長している。キャンプ中、WBC球での投球は直球が抜け気味で、シンカーの制球にも苦しんでいた。つかみどころがない性格で分かりづらいが、今日のブルペンを見る限り、慣れないWBC球での感覚をつかんだようだ。

 海外の打者を相手にする場合、投手はストライクゾーンの中で勝負できる球種があるかが重要。もちろん、力負けしない直球があればいいが、直球の力だけで勝負できる投手はほとんどいない。そこでストライクゾーンの中で勝負できる変化球があるかがカギになる。石川のシンカーは、十分通用する武器になっていた。

 石川の長所は、シンカーを自由自在に操れるところ。右打者の内角へはシュート気味に落とし、外角へは真っすぐに落とせる。甘いコースへの投げミスはほとんどない。シンカーの基本はストライクゾーンからボールゾーンに落とし、打者の空振りや打ち損じを狙うが、石川はストライクゾーンからストライクゾーンの中で小さく落とし、見逃しストライクでカウントを稼いだり、1球で仕留めることもできる。シンカーに頼り過ぎて失敗することもあるが、直球、カーブ、スライダーの制球もよかった。これなら球数制限のある国際試合でも不安はない。

 心配なのは、最初の登板が重圧のかかる開幕戦だという点。ロッテでも開幕戦は投げたことがないし、他のメンバーと見比べても、ビッグゲームでの登板が少ない。壮行試合に先発できる機会があればいいが、2番手での登板になりそうだと聞いている。ハードルは高いが、自分の投球さえできれば大役はこなせる。自分の能力を信じてマウンドに上がってもらいたい。(日刊スポーツ評論家)

 ◆里崎とWBC 06年の第1回大会で全8試合に出場し、7試合で先発マスクをかぶった。投手陣を支えた守備面だけでなく、2次ラウンドのメキシコ戦で2点本塁打を放つなど打撃でも活躍。打率・409、1本塁打、5打点の活躍で初優勝に貢献し、大会のベストナインにも選ばれた。