侍ジャパン、準決勝米国戦の突破策はセンター返し

7回表日本無死、筒香は中前打を放つ(撮影・加藤哉)

 【メサ(米アリゾナ州)18日(日本時間19日)】世界一軍団から学ぶ。第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を勝ち進む侍ジャパンが、昨季ワールドシリーズを制したカブスとの練習試合に臨み、4-6で敗れた。打者はメジャー一線級の動くボールに苦しみ、投手陣はボールの制御に明暗が出た。名将ジョー・マドン監督(63)は、足を高く上げる日本打者の特徴を指摘。上原浩治投手(41)は激しい気候の変化への対応を説いた。準決勝の相手が米国に決まった日本は19日、決戦の地ロサンゼルスに乗り込む。

 世界一のカブスは、生きた教材としてこの上なかった。通算176勝の先発ラッキーから、オールスター2度選出のデービス、ブルペンの軸であるストロップの継投。ベース板付近で豊かにボールを動かす右腕たちが胸を貸してくれた。

 菊池の本塁打を除けば、この3投手から放った安打は3本で、うち2本が筒香の中前打。低く沈むボールに動じず、下半身の動作を極力少なくし、堅実に打った。マドン監督は、侍たちの打席での挙動に着目していた。「日本は足を上げて打つバッターが多い。だから変化球が多いんだろう。足を高く上げ、地面に着くまでの時間が長いとアジャストするのが難しくなる」。

 中田に坂本勇、山田、松田…足でタイミングを取る選手は多い。打ち方はいまさら変えられない。軌道幅が大きく、重厚なボールにどう対応するか。8回、平田、小林、田中、坂本勇と安打を重ね奪った3点にヒントがあった。体の内側からバットを出し、中堅から逆方向に強く打った。天然芝でも打球は死なず内野を抜けた。スタンドではなく中堅。決めではなくつなぎ。意識の置きどころで打開できる。

 投手陣は、一喜一憂してはいけない。試合は気温37度、湿度3%で行われた。3日後の準決勝はロサンゼルス。予報は曇り時々雨。気温15度、湿度83%だ。メジャー9年目の上原が冷静に指摘した。「ロスとアリゾナは全く気候が違う。夜は冷えるし、こんなに乾燥していない。移動後の時間が重要。今ボールが扱えないから、イコール状態が悪いではない。その逆もある」。98マイル(約158キロ)を制御した則本。変則は効果的、を証明した宮西。好調を持ち込めるかが継投の分岐点だ。

 小久保監督の見立ても一致していた。「筒香はバリバリのメジャー相手にさすが。彼はドミニカにも行っている。ナイターで気温が下がる。対応が非常に難しい。なるべくいい状態で試合に臨みたい」。決戦までもう1試合、今日はドジャースから学べる。【宮下敬至】