米国が4大会目で初V「代表への誇り」重視で悲願

トロフィーを高々と上げる米国ナイン。手前はインタビューを受けるリーランド監督。手前右端は拍手するトーリGM(撮影・菅敏)

<WBC:プエルトリコ0-8米国>◇決勝◇22日(日本時間23日)◇ドジャースタジアム

 ベースボール発祥の地、アメリカが、ついに世界一の座に就いた。第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の決勝戦は、米国がプエルトリコに完勝し、念願の初優勝を飾った。先発マーカス・ストローマン投手(25=ブルージェイズ)が、6回まで無安打の快投。打線も効果的に得点を加え、危なげなく難敵を振り切った。本場の威信をかけて、「名」より「実」でチームを編成した首脳陣の信念が、ようやく実った。

 星条旗を手にしたA・ジョーンズ、イエリチを先頭に、ビクトリーランが始まった。「USAコール」が響く中、トップメジャーリーガーたちが、大はしゃぎでグラウンドを1周した。準決勝まで7戦全勝のプエルトリコ相手に完勝。ようやく「強いアメリカ」を全世界に実証した。リーダー格のA・ジョーンズは、興奮気味に言った。「ここにいる全員が、米国のためにプレーしたかったんだ」。過去3大会の通算成績は、10勝10敗。大会の権威、意義を失墜させてきた汚名を、きっちりとそそいだ。

 バランスの良さと総合力で、頂点をつかんだ。3回、キンズラーの2ランで先制すると、5回にはイエリチの適時打などで2点を追加した。投げては、先発ストローマンが6回まで無安打と快投。終盤にはダメ押し点も加えた。重圧のかかる決勝が、最高の試合運びだった。

 ベースボールの本場として、世界一が使命だった。その第1歩として、GMにヤンキース監督としてワールドシリーズを4回制覇したジョー・トーリ氏(76=MLB副会長)、監督には同1回のジム・リーランド氏(72)が就任。勝ち方を熟知した2人の重鎮が、昨季途中からチーム編成に着手した。まずは候補選手への聞き取り調査を開始。興味レベルから確認を進め、「代表への誇り」を重視した。求めたのは、調整の一環と考えるビッグネームよりも、気骨あふれるプロ集団。その後、辞退選手が出たものの、最終的には「選抜」ではなく「志願」の意思を持つ28人が集まった。

 采配も、勝利に徹した。短期決戦のカギは、いかに失点を防ぐか。決勝戦の内外野7人全員はゴールドグラブ賞獲得者。打撃不振でも三塁アレナドを全試合で起用し、手駒が豊富な救援陣に勝敗を託した。パワーだけに依存しない戦いこそ、米国本来の強さだった。米球界の期待に応えた一方、リーランド監督のユニホーム姿は今回が見納め。シャンパンファイトを終えると、「これで完了」と少ししんみりした後、ニヤリと笑った。「我々は“メーク・アメリカ・グレート・アゲイン”(偉大なアメリカを取り戻す)にトライしただけだよ」。トランプ大統領のキャッチフレーズで笑わせると、老将は静かに会見場に背を向けた。