<プロボクシング:ノンタイトル8回戦>◇9日◇エル・おおさか◇契約体重56キロ
日本スーパーバンタム級7位辰吉寿以輝(30=大阪帝拳)が、プロ21戦目を白星で飾った。
25年度西日本フェザー級新人王の豊永太我(21=ウォズ)と対戦して2-0の判定勝利(77-75、77-75、76-76)を収めた。
戦績は18勝(10KO)1敗2分けとなった。
序盤は辰吉が鋭い踏み込みと左ジャブで距離を詰めた。
身長で7センチ高い175センチの豊永に対して、左フック、左ボディーフックをヒットした。
中盤は豊永が長いリーチを生かしてジャブをついた。距離をとって、辰吉に決定打を許さなかった。
終盤は辰吉がボディーを効かせて、接近戦が増えた。
豊永も闘志をむき出しにして、アッパーなどをくり出した。
両者ともにダウンなく、判定はジャッジ1人がドロー、2人が2ポイント差で辰吉を支持した。
辰吉は「アップはよくて、1ラウンドは練習してきたことができていた。ただ3回、4回で向きになってしまった。ボディーはよかったと思うが、もう少しコンパクトにいけたと思う」と反省した。
リング上では、父丈一郎の代から支援してくれた後援者が5月に亡くなったことを涙ながらに明かして「弔いとしてしっかり勝つことできてよかった」と言った。
二転三転の上で、実現した試合だった。
当初は昨年秋、右構えとの「日本ランカー対決」を予定していた。
しかし試合1カ月前に、左拳を負傷。
小指側の腱(けん)を脱臼して、ドクターストップがかかった。
仕切り直しの日の興行だったが、ここで予想外の事態が起こった。
当初は、「警察官ボクサー」こと同級11位の杉田ダイスケさん(享年37)との試合が組まれていた。
しかしカード発表の直前だった6月1日、杉田さんが勤務先の駐在所で頭から血を流して、亡くなったことが発表された。
寿以輝は、当時をこう振り返る。
「朝、ロードワークから帰ってきたら、嫁さん(妻の優さん)に『試合なくなるんじゃない』と聞かされて、知りました。『えっ』と、本当に驚きました」。
試合まで残り2カ月。
思いもしない出来事で、対戦相手がいなくなった。
そんな寿以輝との対戦を了承して、リングに上がったのが、豊永だった。
豊永は前日計量をクリアした8日、急きょの試合を受けた理由について「(自分にとって)いいチャンスだと思った。有名でフィジカルも強い。しっかり勝ってランキングに入ってどんどん上にいきたい」と説明した。またウォズの山田卓哉会長(42)も「本人が(辰吉と)いつかやってみたいといっていた。ウチにとってはチャレンジになる」と試合を了承していた。
辰吉は24年12月に東洋太平洋スーパーバンタム級王者中嶋一輝に挑んだが、2回TKO負けで初黒星を喫した。
再起してからこの日が3試合目。判定勝ち、引き分け、判定勝ちで2勝1分けになった。
「浪速のジョー」こと元世界王者・辰吉丈一郎の次男は、18歳だった95年4月に2回KO勝ちでプロデビュー。
今月3日に30歳の誕生日を迎えたばかりだった。
今後はタイトルをにらんでいくことになる。
「今日の内容ではなんともいえないが、決まってくれればやるだけ。最近はKOしていないので、ぶっ倒して勝ちたい」と意気込んだ。【益田一弘】
◆辰吉寿以輝(たつよし・じゅいき)1996年(平8)8月3日、大阪・守口市生まれ。幼少期から父丈一郎の手ほどきを受ける。15年4月に2回KO勝ちでプロデビュー。昨年12月に東洋太平洋スーパーバンタム級王者中嶋一輝に挑戦も2回TKO負け。家族は優夫人、長女の莉羽(りう)ちゃん、長男の秀弦(しゅうげん)くん。168センチの右ボクサーファイター。