那須川天心「こんなに負け予想が多い試合は経験ない」井上拓真戦へ「ひっくり返してやりたい」

笑顔を見せる那須川天心(撮影・鈴木正人)

プロボクシングWBC世界バンタム級1位の那須川天心(28=帝拳)が、“向こう傷”覚悟でリベンジに挑む。同級王者の井上拓真(30=大橋)との再戦(27日、トヨタアリーナ東京)を控えた14日、都内の所属ジムで練習を公開。「やられる覚悟はある。その覚悟で刺しに行く」と独特の表現で決意を語った。

公開したのはシャドーボクシングとミット打ち、サンドバッグ打ちの各2回。持ち前のスピードに加えて、これまで以上に重心の低さ、踏み込みの鋭さが際立っていた。「自分から試合をつくっていく。これまで、ここという時に引いてしまう自分がいたけど、そこから逃げない。立ち向かう。そこが成長したところ」と那須川。その決意と覚悟がボクシングにもにじみ出ていた。

昨年11月24日に同級王座決定戦で井上に判定負けを喫した。キックボクシング時代を含めた格闘技人生で初めての黒星。「(井上が)自分の知らない間合い、ボクシングをやってきた感覚があった。どうしようか迷う。0・何秒を競う世界で一番やってはいけないこと」と振り返る。

リベンジを期して、得意ではなかった接近戦での打撃を磨き抜いた。そして、今年4月の同級挑戦者決定戦で元2階級制覇王者のフアンフランシスコ・エストラダ(メキシコ)に9回終了TKO勝ちして結果を出した。そこから上積みしたのが12回途切れることのない集中力。「今は本当に心の隙が無い。1回、1回ずっと集中力ができている」と前回の井上戦後からトレーナーについた葛西裕一氏は明かす。

井上も5月に4階級制覇王者の井岡一翔にダウンを奪って圧勝するなど、さらなる成長を印象づけた。那須川は「強くなっています。自分が戦ったときより成長している。自信がついている。強敵。強いチャンピオン」と認めた上で、こう続けた「強いヤツに挑むのが自分の格闘人生。それがプロの格闘家。誠意を持って挑む。やられる覚悟はある。その覚悟があるヤツはやる覚悟のあるヤツ。やられるリスクは高いが刺しにいく。KOしたい」。

前回の結果と内容。さらに井岡戦の試合結果も踏まえて、下馬評は井上有利の声が大きい。「こんなに負け予想が多い試合は経験がない。そういった概念をひっくり返してやりたい。崖っぷちでピンチの状況だからこそ、ひっくり返ったときに面白いものが生まれる。その心意気で練習をしてきた。オレにはオレがついている」。人生の岐路とも言える一戦を、那須川はどこか楽しんでいるようでもあった。【首藤正徳】