【ボクシング】松本流星が王座返り咲きで涙「スーパーチャンピオンに」目標は他団体との統一戦

1回、ラッセル・アコスタ(右)にパンチを放つ松本流星(撮影・河田真司)

<プロボクシング:WBO世界ミニマム級暫定王座決定12回戦>◇27日◇トヨタアリーナ東京

前WBA世界ミニマム級王者でWBO世界同級1位の松本流星(28=帝拳)が王座返り咲きに成功した。好戦的に右ファイターとなる同級2位ラッセル・アコスタ(27=メキシコ)との同級暫定王座決定戦に臨み、12回判定勝ち。今年6月にWBA王座を返上していた松本が全勝対決を制し、約3カ月ぶりに世界ベルトを手中にした。

「ホッとしている。夢に向かって強く頑張っていれば、夢はかなうことを見せられて良かった」。目にはうっすら光るものがあった。

昨年9月、高田勇仁(ライオンズ)との王座決定戦を制し、WBA同級王座を獲得した。名門ジムで最速のプロ7戦目の快挙だった。今年3月には高田との再戦で初防衛にも成功したが、統一戦の実現を希望。しかしWBAスーパー、WBO同級統一王者オスカー・コラーゾ(29=プエルトリコ)の存在が大きくのしかかった。

松本は「(WBAの)セカンド王者という立場で、統一戦もできない。本物の世界王者になりたい」とし、6月1日にWBA王座返上した。他団体での世界王座獲得を目指し、8月末には待望のWBO暫定王座決定戦が決まった。

統一王者コラーゾが10月10日、WBA、WBC世界フライ級統一王者リカルド・サンドバル(27=米国)に挑戦予定だった。しかしコラーゾの肋骨(ろっこつ)骨折で中止に。当初はコラーゾが他階級に挑戦したと同時に松本-アコスタ戦の勝者が暫定王者から正規王者に「昇格」することが決まっていたものの、不透明な状況となった。

今後の統一王者の動向次第となるが、松本は冷静に受け止めている。「とにかく(所属ジムの)本田(明彦)会長が決めてくださった試合に勝ち続けるということが、自分のやるべきことだと思う」と目前のWBO暫定王座戦に集中していた。

8月8日に小学校時代の同級生で、3~4年前から交際していた依舞(いぶ)さん(28)と婚姻届を提出。結婚後初の試合が今回の世界戦だった。松本は「(令和)8年8月8日に末広がりなので入れた。負けられない気持ちは結婚後も変わらない。しっかりやりたい」と強い決意を示した。世界戦後には夫人が希望する結婚指輪を購入する約束もある。

松本は「絶対に勝って指輪代を稼がないといけない。金額は3ケタ(万円)だった。それもモチベーション」と意気込んだ。交際後に同居し、これまでも減量食のサポートも受けてきた。「バランス良い食事で計量2、3日前まで食べられるようにしてもらっている。最後まで動けるし、1人でやっている時よりも助けられている」と感謝。夫人のためにも結婚後初戦で負ける訳にはいかなかった。

「ボクシングの幅を広げて、一番強いと思われるスーパーチャンピオンになりたい」

目標は他団体との統一戦となる。ミニマム級には、スパーリングの経験もあるWBA世界同級王者石井武志(26=大橋)をはじめ、WBC王者にシヤコーロワ・クセ(23=南アフリカ)、IBF王者には重岡銀次朗に2連勝したペドロ・タドゥラン(29=フィリピン)と強い対抗王者が君臨する。「目の前の試合(アコスタ戦)に勝ってから先のことを考えたい」と気持ちを引き締めていた松本が、同級最強を目指し、リスタートする。

■ラウンドVTR■

1回 互いに様子をうかがう立ち上がり。前の手の差し合いから、サウスポーの松本が先に手数を増やした。ジャブを的確に当て、左ストレートもヒット。ステップを刻んで距離を保ち、自分のリズムで進めた。アコスタは慎重な立ち上がり。松本が好スタートを切った。日刊採点は松本の10-9

2回 松本は右ジャブを使いながら、中盤にボディーを入れてダメージを与えた。会場から手拍子が上がる場面も。アコスタも徐々に圧力を強め、右アッパーを繰り出す。後半には左フックを松本に当てたが、松本も左ボディーで応戦した。日刊採点は松本の10-9

3回 松本がバックステップを使い、距離を取って入った。アコスタは鋭いパンチを的確に繰り出す。中盤、松本が左ストレートを顔面にクリーンヒットさせ、ボディーも効果的に当てた。一方のアコスタも右のカウンターを当て、互いにダメージを与え合った。日刊採点は松本の9-10

4回 松本は打って離れ、アコスタは距離を詰めた。アコスタの右カウンターに松本が危ない場面もあったが、松本のボディーが決まると、アコスタが背中を丸めた。残り10秒にはアコスタが前に出て、松本をロープ際に追いやった。日刊採点は松本の10-9

5回 アコスタは上半身を動かしながら、力を込めて打ってくる。松本も守りに意識を向けながら、手数を減らさない。攻撃で体力を削りにかかるが、アコスタもスタミナを見せ、打たれても前に出て重いパンチを放つ。互いに譲らず、攻防が続いた。日刊採点は松本の10-9

6回 アコスタが松本を追うように前へ出た。松本もリング中央で足を止めて応戦したが、右フックに続く左を顔面に受けて後退する。アコスタはさらに前に出て、圧力を強めた。中盤以降は互いに決定打がなかったものの、終盤もアコスタが追い、パンチを放った。日刊採点は松本の9-10

7回 松本はガードを上げ、右からリズムをつくろうとする。距離を使いながら右をボディーに入れた。アコスタは上体を動かして松本のパンチをかわす。終盤にはアコスタの左が松本にクリーンヒットした。日刊採点は松本の9-10

8回 松本も果敢に攻め、互いに打ち合う時間が続いた。両者とも体力切れは見せない。アコスタのジャブが松本を捉え、松本が正面からパンチを受ける場面も増えた。それでも松本は攻め続ける。終盤、アコスタが左を大きく振った。日刊採点は松本の9-10

9回 アコスタが立ち上がりからプレッシャーをかけ、近い距離で勝負に出る。松本も引かずに攻め、中盤にはボディーを連打。アコスタが嫌がる様子を見せた。それでも、当てて当てられての展開が続く。残り1分には互いに危険な距離で打ち合った。日刊採点は松本の9-10

10回 序盤はアコスタが距離を詰め、松本が迎え撃つ攻防が続いた。中盤には松本の左フックがアコスタの顔面を捉える。相手が中に入ろうとするところにもパンチを当てた。それでもタフなアコスタは前に出て重いパンチを繰り出す。松本もスピードを緩めず、攻め続けた。日刊採点は松本の10-9

11回 松本はスピードを落とさず、右ジャブから左ボディーにつなげて手数で圧倒。中盤にはアコスタの動きが止まる場面もあった。アコスタは偶然のバッティングで左まぶたから出血し、試合が一時中断。再開後は互いに頭を下げ、ボディーを打ち合った。松本は最後まで攻めてゴングを聞いた。日刊採点は松本の10-9

12回 最終ラウンドは互いに手数を出して入ったが、松本が優位に運んだ。連打でアコスタの顎が上がる場面も。後半はバックステップを交え、足を使って相手の攻撃をいなした。最後まで落ち着いて戦い、試合を終えた。日刊採点は松本の10-9

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